WOC2019報告書 (伊藤樹)

 日本代表としてWOC2019に出場しました。WOC2019はノルウェーのサルプスボルで開かれました。今回、本選に向けて二か月前から北欧に現地入りし、トレーニングを行い、8/12~8/17の本戦に出場しました。
 自分は、ミドル予選、ロング決勝、フォレストリレーの3種目に出場しました。


<結果>
ミドル予選
1. Mattias Kyburz 25:21
15. Aron Bako 29:24
29. Itsuki Ito 32:52
※15位以内予選通過

ロング決勝
1. Olav Lundanes 1:30:09
67. Itsuki Ito 2:19:01

リレー
1. Sweden 1:40:42
28. Japan 2:10:40
1. Sebastian Ken Baumann 36:16(23)
2. Hiroki Komaki 77:44(26)
3. Itsuki Ito 130:40(28)


<遠征スケジュール>
6/27 ノルウェー入り
6/28~6/30 Norsk O-Festival
7/1~7/2 トレーニングinノルウェー
7/3 デンマーク入り
7/4~7/6 JWOCコーチ
7/7~7/13 JWOC併設
7/15 スェーデン入り
7/16~7/18 トレーニングinスェーデン
7/19~7/21 o-ringen academy
7/22~7/27 o-ringen本戦
7/29~8/7 トレーニングinスェーデン
8/8~8/11 WOCトレキャン
8/12~8/17 WOC本戦
8/20 帰国


1. 動機
 近年日本チームはWOCでよい結果を残すことが出来ておらず、学生のWOCへの向上心が低下しています。そんな現状を打破したいと考えていました。その中、自分は2018年度日本学生選手権ミドル部門、全日本大会ロング部門において優勝を果たし、今後WOCの上位を目指していくことを決めました。
 今後WOCで戦っていくためのスタートとして今大会に臨みました。
 具体的には
  ・ミドル予選 目標:予選通過(15位以内) 結果:29位
  ・ロング決勝 目標:50位以内 結果:67位
  ・フォレストリレー 目標:日本最高順位(20位以内) 結果:28位
 という目標を設定しました。

2. 取り組み
 今大会はノルウェーで開催されるため、北欧特有のフカフカした地面、湿地や露岩で形成される独特な森への対応がネックになると考えました。それらに対応するために二か月前に現地入りし、トレーニングを行いました。
 その結果、ナビゲーション面では大きな進歩が得られました。一方で、フィジカル面では課題が残り、フカフカした地面を走り岩崖を乗り越えていくと、足全体が疲れてしまいスピードが出せなくなってしまいました。
 このような状態で、本戦に臨みました。


3. 本戦
 ミドル予選
  コース
   https://woc2019.no/files/maps/WOC2019_Middle_Qual_Men_3.pdf

 目標としていた予選通過を果たすことはできず、ボーダーラインである15位の選手から3分28秒遅れる32:52でフィニッシュしました。レースの手ごたえとしては悪くはありませんでしたが、予選通過できるような会心のレースではありませんでした。体感では、10秒ミスを3回、30秒ミスを1回犯しましたが、それ以上に他の選手とのフィジカルの差を感じました。
 ラップを見れば分かるように、序盤ミスをしたにも関わらず、レース半分の7ポをボーダー+46秒で通過しています。それにも関わらず、レース後半明らかにペースが落ちて差をつけられています。

 

 ロング予選
  コース
   https://woc2019.no/files/maps/WOC2019_Long_Men.pdf

 初WOCロング、ノルウェーの森を16.6kmということで、果敢に挑戦しレースを楽しみました。現状のフィジカルでは、レースを完走できるかどうか怪しかったため、ミスをして体力を消耗することが無いよう意識してレースに臨みました。また、レース全体を考えてペースを抑えて走りました。
 序盤、ミスなく順調にレースを展開することが出来ていました。しかし、フィジカルを想像以上に消耗しすぎてしまい、レース半分にも達していない10ポで足を攣りかけてしまいました。原因は、長い距離湿地を走るルートチョイスを選択してしまったことと、現地でのミクロなルートチョイスができず、小さな湿地を何回も横切ってしまったことです。湿地を走るときに、足の限定的な筋肉を酷使するため、そこに疲労がたまってしまいました。
 フィジカルが消耗していたため、10-11のロングレッグは大きく森を巻いて道を走る選択をしました。これは、よい選択だったと思います。長い道走りで足を回復させることが出来ました。しかし、ポスト回りでミスをしてしまい、3分余分に森を走り回ってしまいました。ここで、集中力が切れてしまい、誤魔化していた疲労もどっと溢れてしまいました。この後は、レースを立て直すことが出来ず、ぎりぎりの満身創痍で完走しました。

 

 

 リレー
  コース
   https://woc2019.no/files/maps/WOC2019_Relay_Men.pdf

 僕の、初WOCリレーは大きな失敗に終わりました。
 一走Sebastian、二走小牧、三走自分という走順でした。Sebastianが良いレースをして、トップ+3分の第二集団でチェンジオーバー、小牧も集団の中で快走し、とても良い位置で三走の自分に出番が回ってきました。前にはアメリカ、ニュージーランド、エストニア、ハンガリーなどのいわゆる中堅国の集団、後ろからも僅差で選手が追ってきている状態でスタート。この集団に競り勝ってくればかなり良い結果だ!と気負って走り出しました。これが、よくありませんでした。序盤の3ポで3分ミスをしてしまい集団が見えなくなってしまいました。その後も焦る気持ちばかりが先行し、数分単位のミスを連発。自分のレースをすることが出来ませんでした。そんな中レースは終盤、ハンガリー、スロバキア、イスラエルの3チームと競り合っていました。14ポを僕が先頭で通過し、最後の勝負レッグ14-15、道を走って藪を切ってアタックするレッグでした。道をがむしゃらに走ったのをよく覚えています。しかし、最後で海外選手の藪を切るスピードについていけず、アタックでミスをして競り負けてしまいました。結果は28位。自分のレースには到底満足はできませんが、それ以上に、最後に競り負けて順位を3つ落としてしまったことがとても悔しく、日本チームに申し訳なく感じています。
 28位という順位は例年の成績とさほど変わりませんが、中堅国と競り合うという大きな経験を得ることが出来たレースでした。今回、味わった悔しさを忘れず、2年後のチェコフォレストWOCで必ずリベンジを果たします。

4. 最後に
 これまで、JWOC、WUOCと出場してきて、海外の選手に圧倒されてきました。なので、WOCの舞台はどれほどレベルが高いのか想像がつきませんでした。そして、今回WOC2019しその舞台を体感することが出来ました。案の定、トップ選手に圧倒され、身の程を知りましたが、同時に自分の可能性も感じることが出来ました。WOCの予選を突破することはできると思いました。今の自分に足りないものを身に着け、次のフォレストWOCであるWOC2021では、第一ステップとして、予選を突破したいと思います。
 また、今年度(2020年)はスプリントWOCとWUOCの出場を目指します。そしてWOCではスプリント予選突破、WUOCでは個人戦30位以内を目指します。
 応援ありがとうございました。今後もよろしくお願いします。

2020年03月18日