第16回世界大学オリエンテーリング選手権大会報告書

松永 真澄
日本女子大学


内容

  1. はじめに
  2. 選考会前後
  3. 準備期間(4~7月)
  4. エストニアにて

はじめに

私がユニバーを目指した本当のきっかけは、2年前のJWOC@リトアニア終了後のスウェーデン遠征だったと思います。WOC代表の善徳さん・皆川さんとの何気ない会話の中で「2年後ユニバー行きなよ。行けるよー」と言われ、当時の私にはそんなわけないとしか思えませんでしたが、後々「ユニバーへ行く」という選択肢がうまれるには充分すぎる出来事でした。

選考会前後

3月のインカレでのレース中の怪我による失敗・秋からの就職活動による疲労でまったく運動をしていない状態で選考会に臨むことになってしまいました。全力で走って今の自分の実力が知れればそれでいいというのが本音でした。なので、結果が微妙なラインに乗ったときは正直困りました。けれど「エストニアに行きたいか?」と聞かれたとき、すぐにYESという返事が出ました。こんな自分でいいのかと戸惑いつつ、選ばれたからには頑張るしかないと腹を括りました。できればもっと明確な意思を持って、インカレ後も継続して努力して臨むべきだと思いました。

準備期間(4~7月)

元々ロングがどうしても走りたいと思っていたので、体力と根性をつけるためにコンスタントに走るのを最低条件にしました。競技に取り組む選手として当たり前のことですが、飽き性なのでモチベーション維持のために周囲の人と目標の走行距離を共有したり毎回のようにトレ場所を変えました。

けれど選考会直後に起きた謎のひざ裏の痛みが邪魔をして、完治した5月の頭までは合宿などの実践的なトレーニングも含め、なんでも恐る恐るでした。そのため強度の高いものは意識的に避け、ひたすらジョギングやペース走ばかり。もう少しトレーニングにはメリハリをつけたほうがよかったのではないかと感じています。

さらに、6月の頭に一人で鎌倉の山でマラニックをしていた際に激しく足をひねり、もともとくせになり気味だった捻挫が完全にくせになってしまった。しかも放置→捻る→痛くなくなるまで放置を繰り返して、直前になってさらに悪化。完全に自業自得とはいえ今更辞退するわけにもいかないので、テーピングの方法を変えてみたりと少しでも痛くなくなる工夫をしてみました。この件に関しては坂本さんに助言していただきました。ありがとうございました。

思い返せば、日々のトレーニングと合宿・卒論のための研究・加えて就職活動とそれに関連した精神的な悩みと渡航準備でぐちゃぐちゃな3ヶ月でした。物事は計画的に効率よく進め、時には割り切ることも大切だと思いました。また、周囲の支えに本当に救われました。週末の合宿やサポートを含め、多大な人々の助けがあったからこそエストニアへ向かうことができました。本当に感謝しています。

エストニアにて

トレキャン

日本とはまるで違うエストニアの地図・地形・植生に本当に驚かされました。湿地はともかく、とにかくやぶい!!オープンC ハッチやCヤブも容赦なく使われ、身長より高いヤブにも突入していくのはかなり新鮮な経験でした。また、大量のハエの軍団に追いかけまわされ、たかられるのはかなり不愉快でした。地形がダイナミックで緩やかなせいかヤブのせいか、まっすぐ進むという単純なことがとても難しく苦労しました。最終的には、オープン・ハッチにはできるかぎり立ち入らない方がいいという結論を得ました。大概は足場が悪く走りづらいからです。

ロング

直線距離9,010m、登距離140mというとてもフラットな印象のコースプロフィールでした。しかし1:15,000、等高線間隔5mでのトレキャンがなかったことによる距離感への不安が残りました。それは見事に的中し、1ポで完全なショートを起こし、3ポは方向維持に失敗して隣ポに行き、しばらくリロケートできずに途方にくれてしまいました。序盤から大きなミスをすると気持ち的に立て直すのが難しいですが、2つのミスの原因は明らかだったのでその後はそれらに気を配りました。第一給水の手前で初めて女子選手を見てからは競るために走ることでリズムができ、ビジュアル前からビジュアル後しばらくはかなりパックになり、例え途中で地図が読めなかろうとひたすらに離されないよう走りました。スピードはあまり速くない国のパックなのに、追いかけながらかろうじて現在地が把握できる程度。世界の高さを実感しました。「このリズムで自分でオリエンテーリングしたい!」と強く感じました。

結局、最後の細かいヤブい地帯でポストをスルーし、無駄にたくさんつぼって帰還しました。ラス前→ラスポでヤブにできたオリエン道を辿っていると、たまたま前にいた女子に「ついてこないで!追走すると失格よ!!(みたいなこと)」をすごい剣幕で何度も怒鳴られました。。。みんな同じポストなのに理不尽でした。

継続したトレーニングのおかげか、長さに対してはそんなにきついとは思いませんでした。けれど、やはりヤブに覆われたダイナミックな地形、めまぐるしく変わる植生と足場の中でのオリエンテーリングは独特だと思いました。使う技術は万国共通なのに、国内と国外では同じスポーツとは思えないほど、使い方が違うと思います。そしたらどうすればいいのかなどは、考えても答えに辿り着くことはできなかったのですが・・・

リレー

国内の指定レースの結果、リレーを走ることにはなったものの、最後の方になってたくさんのことをごねてしまい、メンバーの3人には迷惑をかけてしまったかな。と反省しています。今後は、チームができた段階からリレーに関して深く話し合うべきだと思いました。

レースは、4走のパックに乗るという予想から大きく外れ、ひたすら一人旅でした。ビジュアル前の振られたポストで隣ポをはじめてみてしまい、大きくつぼって4走の関谷さんをウムぎりぎりまで待たせてしまったことを申し訳なく思っています。リレーは走順が後ろになればなるほど展開が読めなくなるので、やはりシミュレーションをたくさんすべきだと改めて思いました。けれど、おそらく二度と走る機会のないであろう4人リレーの3走を走らせてもらうことができて、とてもいい経験になりました。

最後に・・・

あらゆる人の手助けがあったからこそ行くことができたユニバーは、本当に得がたい経験ばかりでした。日本ではなかなか体感すらすることのできないシンプルなスピードオリエンテーリングを目の当たりにし、とても興奮したし、もっともっと速くなりたい!!と心から思いました。私自身に次回ユニバーや世界選手権など、海外へ行くことのできる機会が得られるかどうかはわかりません。この気持ちをなるべく早いうちに何度も体感することができれば、もしかしたらもっと世界の高さに挑戦できる可能性もあると思います。この気持ちを体感するだけでも、ユニバーへいく価値はあると思います。

どうかこの報告書を手に取った後輩たちに、私たちの失敗(?)を踏み台にしてもう一段高いところへ手を伸ばして欲しいと願っています。

がんばってください、応援しています。


一覧へ戻る