第15回世界大学オリエンテーリング選手権大会報告書

高橋 雄哉
2006年度 筑波大学在籍
(統合前は図書館情報大学)

WUOC2006報告書


内容

  1. セレ~出発まで
  2. 遠征 スロベニア~スロバキア
  3. トレーニングキャンプ~本戦
  4. 全てを終えて
  5. 最後に

セレ~出発まで

ユニバーは4年になった時から既に目標としていたので、何も考えずにセレに出ることにした。 ただ留年が決定し、5年目突入が確定していたのでモチベーションは最悪だったことは記憶している。 セレ時点での体力面での自己評価は、1月は諸々の事情によりまったく走っていなかったことと、 インカレミドルでのショックで走る気もほとんど起こらなかったため、予想としては5000mを18分で走れるかどうか。 18分で走れたとしても、走り終わった後はふらふらになるぐらいの体力しかないと感じていた。 地図もほとんど読んでいなかったので、不安要素が多すぎるままセレに望むことになった。

不安は的中し、一日目のスプリントでは後半足が動かず、散々だった。 ナビゲーションの面でも、疲れからか頭が働かずに後半に大きなミスをしてしまい、次の日に不安を残すばかりであった。

二日目は一か八か、ひたすら我慢することに徹した。 先に進みたい気持ちを必死に抑え、確実にチェックポイントを確認、アタックの際はスピードを落として、ポストまでミス無く進む。 よく考えれば当然のことをやったまでなのだが、普段その当然のことをしないので、よくうまくいったものだと自分で感心する。 この時のレースの出来はかなり良く、結果セレを通過することが出来た。 セレくらい余裕で通過出来なければ、その後も苦労の連続だとは分かっていたが、とりあえず一安心。

さぁ、これから合宿で鍛えていくぞ!と思ったのも束の間、4月の愛知合宿で右足の膝を3針縫う怪我をしてしまった。 完治したのが5月の終わりで、そこからトレーニングを始めたが、モチベーションがなかなかあがらず(怪我をした箇所が気になって、 スピードもなかなか上げられず、トレーニングの量も少なかった)、週末の合宿でなんとかトレーニング出来ていた感じだった。 ただ幸いなことに、毎週合宿や筑波大大会、東日本大会の試走などで山を走る機会に恵まれていたので、 山を走る感覚だけはほとんど失うことはなかった。 山を走る機会を与えてくれた人たちに感謝したい。

地図読みのトレーニングは体力面でのトレーニングが満足に出来ていなかったためやる気が出ず、 しばらくやっていなかったが、6月の時点で「これはやばい」と危機感を覚えて、とにかく寝る前に地図を読むことを心がけた。 寝る前に地図を読むと、その日1日凄く地図を読んだ気分で終わることが出来るから不思議だ。 客観的に見れば単に自己満足で終わっているだけではあったが、気持ちが多少楽になるだけでモチベーションも徐々に上がっていっていたような気がする。 このようになんとかトレーニングを続け、無事(?)日本を出発することが出来た。

遠征スロベニア~スロバキア

今回の遠征では、トレーニングキャンプ直前にスロバキアに行くのではなく、 スロバキアに比較的似たテレインがあるというスロベニアの3日間大会に出ることにしていた。 3日間大会の内容は一緒に大会に参加した茂木、今井、坂本のうち誰かが書いていることと思うので省略するが、 ドリーネ(カルスト地形でよく見られるでっかい穴?)が地図で書かれているよりも大きく感じ、それでかなり戸惑った。 日本でも凹地の記号は使われるが、日本と同じ間隔で進むともうアウト。 でかいドリーネだとそれこそ落ちたら大怪我しそうなくらい深かったりする。 岩岩してるし。 日本の凹地はしょぼすぎ。 「この糞ドリーネが!!」とか毒づきながら毎日必死に走っていた。 だが、ドリーネに苦戦させられたものの、本戦前にカルストテレインを体験できたのはよかった。 これから遠征に行く人も、時間の許す限りユニバー本戦と似たテレインがある国に行っておくことをお勧めする。 言わずもがなですかね・・。

ちょっとだけ移動手段についても書いておく。 移動手段はほぼ電車。 国から国へ渡るのも電車だった。 基本的にどこの駅まで行きたいのかさえ押さえておけばなんとかなる。 駅の窓口の人に口頭で伝えるか、行き先を紙に書いて見せるかすれば大丈夫。 多分。 自分は英語が話せるやつに面倒なことを全て押し付けた。 ありがとう茂木、今井。 今度一緒に海外に行く機会があれば、もうちょっと英語を話せるようにしておきます。

トレーニングキャンプ~本戦

スロバキアに着いてからはトレーニングキャンプでひたすら山に入ったが、この時はもう山に慣れることに徹した。 慣れてきたと思ったら、

レースペースで突っ走る→ぶっ飛ぶ→反省

を繰り返してなんとか調子をつかんでいった。 食生活も含めて自分にとっては環境的に最高で、心身ともに充実した状態で本戦に望むことが出来たと思う。

ロング決勝。 日本にいた時から体力面の不安は感じていたのだが、もうバテることを考えるのはやめていた。 どうせ力尽きるときには力尽きる。 気をつけることはドリーネを巻く時の方向維持(かなり大きいので、適当に巻くとあらぬ方向に進んでいたりするため)と、 ひたすら我慢する(ユニバーセレの時のように、決めたルートを確実に通ることに集中)、の2点。 ラストスタートだったため、それほど緊張することなくスタート出来た。

レースは、ラストスタートだったこともあり終始1人。 後半1人に追いついたが、そいつを意識しすぎてぶっ飛んだ。 全体的に見ると自分的には大きなミスはなかったつもりだったのだが、ラップタイムは遅く、慎重に進みすぎた&体力的に走れていない、と感じた。 ロングがユニバーの中で一番の目標であっただけに出だしからつまづいた感があった・・。

スプリント決勝。 ロングで体力がないことを感じていたので、走る前からうだうだいろいろ考えてしまったが、 スタート直前になんとか「もう走るしかない!」と吹っ切れることが出来たのがよかった。 とにかく前半からぶっ飛ばして走った結果、コースも簡単なこともあってか、ほぼノーミスで走りきれた。 ルートチョイスの面でも、冷静にどちらのルートが速いのかを考え、ためらいなく決めたルートを走れたこともよかったのだと思う。 トップとは差が開いていたが、ようやくベストレースが出来て、すこし安心できた。

リレー。 日本で坂本さんと1走を争って勝負したが負け、3走で走ることになった。 坂本さんが1走で第2集団で帰ってきたため、割とモチベーションがあがった。 2走の西尾さんが遅れたものの、モチベーションは保ったままスタート。 途中2箇所で大きなミスをしてしまうが、その他はほぼプラン通り走りきれた。 ただ、ビジュアル区間を過ぎてから体が一気に動かなくなってしまい、その分タイムが遅くなってしまったことが悔やまれる。 あそこでもっと走れれば、もっとタイムを上げられたはず・・。

全てを終えて

ユニバーを通してひたすらに感じていたのが、明らかな体力不足であった。 これまでJWOC2回、ワールドカップ1回と遠征はしていて、海外との体力の差を実感していたのに、 体力不足のままユニバーに望んでしまったのは悔しい。 ただ、怪我をしてしまったことやモチベーション的なことを考えると、トレーニング量を増やせていたかと聞かれれば疑問ではある。 ナビゲーション面では、1~3月に殆どオリエンテーリングをしていなかったせいか、どうも感覚が合わず、 結局トレーニングキャンプ辺りでようやく走ることとナビゲーションがかみ合ってきた感じだった。

反省点ばかりになりそうなのであとは省略するが、スプリントの結果は自分で評価できるものだった。 さらに体のキレを増せば、もっといいタイムが出そうだ。 やはりスプリントは自分に合っている。 しばらくはナビゲーションよりも体力面の強化(持久力を特に重視)を中心にトレーニングを続けていきたい。 そして、世界の舞台でまた戦ってみたい。

最後に

留年してかなり絶望的なモチベーションの中で、励ましてくれた家族、友人には感謝してもしきれません。 チームメイトのみんなにも刺激をもらったおかげで頑張ることが出来ました。 また、毎回合宿の準備をしてくださった西脇さんや有志の方々、オフィシャルでお世話になった尾上さん、 応援していただいた全ての方々には感謝しています。 本当にありがとうございました。 (ご迷惑をおかけしてしまった利光恵美さん、本当にごめんなさい・・)

この経験を糧に、さらに上を目指してこれからも頑張っていきます。 応援ありがとうございました!!


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