第15回世界大学オリエンテーリング選手権大会報告書

小野田 剛太
2004年度 京都大学卒

WUOC2006報告書


8月16~19日の期間、コシツェ、スロヴァキアにてWUOCが開催されました。 4月にセレクションレースにより代表に選出されてから本戦までの間に感じた事をそれぞれ報告したいと思います。

当初の目標としては、具体的な数値の目標は設定していなかったものの、個人種目ではLong、それと最終日のリレーに照準を絞って考えていました。 ただ、日頃のトレーニングとしての計画では、ロング種目に対応する点で考えていました。 最初の合宿にて、リレーメンバーの決定は6月初旬のユニバー独自合宿にて取り決めるという事があったので、

4月中旬~5月中旬
LSDを中心に距離を稼ぐ
5月下旬~6月中旬
WOCセレ、東大大会、セレクションレースなどのレース期
6月下旬~7月下旬
ペース走やインターバルなどのスピードトレ
8月~
本番に向けての調整

と言った大雑把な感じで計画を立てました。 仕事との兼ね合いもあるので、鍛錬期は月間200kmを目標に考えていましたが、結果としては走った時でも130kmくらいでした。 また、リレーのセレクションが難航したことからセレクションレースのレース期が伸びた、後半に左股関節を故障した、という事もありました。

レースの結果としては、Long13,9kmをトップが72分、私は101分で97人中68位でした。 スロヴァキアに来て、トレーニングキャンプを通して、事前の想定タイムを1キロ辺り7分、98分でおおよそ100分と規定していたので、個人のレースとしては、日本に居たときと同様のパフォーマンスが出来たと思います。 ただ、終盤に脚に疲れが出て、こけた際に右手で体を支えようとした為、右肘の靭帯を痛め、曲がらなくなった点も最後、タイムが落ちた原因になります。 ミドルはロングの翌日にやると、体的に無理な感じでした。 2日間それなりに距離のあるレースを続ける、という事をしていなかった事も考えられます。 リレーは混合チームのウムスタートで萎えていました。

ここから、本戦に行く前のトレーニング、合宿、レースについて書いていこうと思います。 上記のように大まかなトレーニング計画を立てました。 細かい計画については、仕事の性質上、細かな予定が立てられない為、トータルで考える必要があり、細かくは立てていません。 去年に引き続き、今年も新たな気分で社会人を始めながらトレーニングをしました。 計画通りにトレーニングが出来なかった原因としては、もちろん仕事における拘束時間が長かった事もあります。 また、疲労が溜まった状態でトレーニングをしても、故障の危険性が高まるだけで、意味がない、と考えたためでもあります。 また、合宿やレースなどの移動時間もほぼ一人で自家用車を運転して行く為、睡眠時間と疲労の蓄積もあったと思います。 しかしながら、今後、仕事を続けながらトレーニングをしていくとなると、このときとほぼ同様、もしくはそれ以上に時間的肉体的に厳しい状況になってくるので、その時間の中で他に何かを考えていく必要があると思います。 平日はjogしかせずに休日に他のトレーニングをするなどです。 その辺りは各自がそれぞれの状況に合わせてやっていくしかないでしょう。

今回は、合宿とリレーのメンバー選考について、もう少し考えてみたいです。 今回は選考会が行われてから本戦までの期間は4ヶ月とそれなりに準備期間があったと思います。 そもそもの最初のリレーメンバー選考が曖昧であった為、中盤以降、どの合宿もリレーのメンバーを選ぶ為だけの合宿という意味合いが強くなり、目的意識が曖昧になってしまった、という感が否めません。 どのようにして、メンバーを決めるのか、を今回も最初ははっきりしていたつもりでしたが、判断に困った場合の対処が必要になっていました。 それでもその場で決めるのか、他の判断基準となるような物を作るか、です。 今回は後者を選択しました。 果たしてそれが良かったかどうか、は私個人に関しては、良くなかったという結果論にはなりました。

合宿は大抵の場合、もっとも参加が多い関東の人にとっても、その他の地域に生活する人にとってもかなり距離があります。 その為、移動に時間がかかる、移動による疲労が溜まるという現象からは、今後とも逃れられないでしょう。 私が学生の時でも、大切なレースの前日はどこか大会会場に近い場所に宿泊して、翌日に備えるという事を当たり前のようにしていました。 ただ、今回の合宿であったため、どこまでやるか、と自分で決める事は出来ますが、常に疲労を溜めている結果になったと思います。 また、リレーメンバーの決定が遅れたために、私個人としては、さらに疲れを溜め、故障する原因になった事も、これまた結果論ですが、そうなりました。 事前に体が作れなかったと言えばそれまでですし、ユニバー本戦はロング、ミドル、スプリント、リレーの決勝を4日間で休日なしで行う為、4日間戦うためには、それだけの体が必要に考えられます。 ただ、4種目全て出る必要はないので、それに見合った体作りをすればよいとも思います。

私の中での一つの結論は、やはりリレーメンバーの決定は、ある程度早い方が良いと思います。 他と比較して、結論を出しにくい状況でも、決めるべきだと思いました。 そうでなければ、直前で故障をする可能性というのは高いと思います。

多くの日本人のオリエンティアは、サッカーでもジーコが最後の最後で言っていますが、フィジカルが弱いです。 そこで、まだ私の中でも結論は出ていませんが、促成栽培のような強化合宿をそんなに頻繁に行うべきなのかどうか、という疑問が生じてきました。 運営をしてくださる方にとっても、選手にとっても疲労が強いのであれば、減らしても良いのではないか、と思うわけです。 ただ、それを通して、メンバーが何度も集まり、しっかりと顔を合わせる事で、海外での生活のストレスも減らせるでしょうし、そして何よりも合宿は楽しいのですよね。 特に社会人生活していると、こんな合宿はこんな時じゃないと出来ないし。

今回の合宿中にも少し意見しましたが、一つの意見を挙げます。 今回のユニバーのメンバーは大抵どこかの地域クラブに所属していました。 それぞれの地域クラブの方に協力していただいて、地域クラブの方と一緒に合宿が出来ないだろうか?という事です。 当該地域クラブVSユニバー選手という形で対抗戦をしても面白いだろうし、ユニバー選手の事をより多くの方に知ってもらえると思います。 上手く取り入ればカンパももらえるかもしれませんね。

この準備期間にトレーニングした100kmとただ走っていただけの100kmでは、トレーニング結果は随分と違っていました。 内容が違うと言えばそれだけですが、当然私の意識も随分と違っていたと思います。 社会生活を営みながら、競技を続けていくのは大変かと思いますが、その辺りに答えがあると思うのは、何も私だけではないでしょう。 私にとってユニバーはそんな適度な刺激と緊張感が持続していました。 手を伸ばせば、きっとちょっと上に手が届きます。 そんな実感を沸かせてもらいました。

今回も何人もの方にお世話になりました。 本当にありがとうございます。 そして、私が学生の時に、世界の舞台を現実の物として見せていただいた諸先輩方に、感謝します。 あの姿がほんのすぐそこに溢れていたのが、私にとって最も大きい存在だったと思います。 長く続けていれば、いつか日の目を見る事がきっとあると思います。 学生の皆様も、是非、頑張っていってください。

以上

2005年度インカレロング、ミドル、リレー実行委員

2007年度もきっとやるよ


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