第15回世界大学オリエンテーリング選手権大会報告書

今井 直樹
2005年度早稲田大学卒

報告書


内容

  1. トレーニング
  2. スランプ
  3. 現地生活
  4. ミドルディスタンス
  5. スプリント
  6. 今後に向けて
  7. 謝辞

トレーニング

今回のユニバーに出る種目が「ミドル」と「スプリント」と決ったことから、 自分としては長い距離に対する持久力より、短い距離で加速できるような瞬発力をユニバー本番までに鍛えることにしました。 具体的なトレーニング方法は以下のようなパターンで行いました。

週のトレーニング・パターン
曜日 内容
月曜日 休暇
火曜日 バイクトレーニング30分、下半身のウェイトトレーニング
水曜日 400m×10本(2分20秒前後)、30分ペース走(キロ4分ペース)
木曜日 30分の軽いジョグ
金曜日 火曜日と同じメニュー or 1時間ペース走(キロ4分ペース)
土曜日 合宿 or 合宿がなければマラニック
日曜日 オリエンテーリング

基本的に1週間に1日しか休まないよう心掛けた。 僕は院生であるため、遠征の出発に備えて実験をしなくてはいけなくて徹夜をするようなこともあったが、 そのような不規則な日でもトレーニングを行いました。

スランプ

 僕は3月の全日本大会以降、日本を出発する8月2日までオリエンテーリングの調子は非常に悪かったです。 最も大きな原因として考えられたのが疲れです。 上記で示したように、週末の合宿や大会前に追い込むようなトレーニングを頻繁にやったり、平日の研究が忙しかったからです。 週末に重きを置くならば週末に向けて疲れを取る日を設けたり、不規則な日は休んだ方がいいと思われます。 疲れた状態での合宿の参加は非常にパフォーマンスが低下し、特に怪我をしやすいので危険です。 「休むのもトレーニング」というように、ついつい頑張ってしまう自分を抑えることも大事であると思いました。

現地生活

まず現地生活で一番不快だったのが「水」でした。 水道の水が飲めないからお店で買わないといけないのだが、ほとんどが炭酸水です。 レースを終えて渡される水も炭酸水である場合があります。 僕はあまり炭酸水が好まないし、他の一部の日本チームのメンバーも苦手としていました。 日本でよく目にするような水は値段が高いが、不快さを感じたくないなら買ってもいいと思います。 また無炭酸水も売っているが、原因はよくわからないが早く飲まないと不味くなるので気をつけてください。 次に気をつけるのが「パン」で、これもすぐにカビるので気をつけてください。 カビたパンを食べて体調を崩した人もいるし、僕もカビたパンを食べて吐き気をもよおしたこともあったので気をつけてください。

服装に関してはヨーロッパが熱波であると言っても厚手の上着を持っていくといいです。 暑い日は必要ないのですが、雨の日は非常に寒かったです。 特に今回遠征を兼ねてスロベニアの大会に参加したのですが、ずっと雨でジャパンウィンブレしか持っていなかったため、辛い思いをしました。 風邪を引かないように気をつけましょう。

ミドルディスタンス

今回ユニバーのミドルはヨーロッパの典型的な大陸テラインでしたが、日本で想像するような大陸テラインとは異なります。 向こうの大陸テラインは大雑把な地形の中にも部分的に微地形が存在しているような感じです。 今回のコースは基本的にルートチョイスというものがなく、真っ直ぐ行くという感じでした。 そして岩がちな部分も使われ、ここがヨーロッパの選手とのスピードの違いを感じる部分でした。 僕の2分後にスイスのナショナルチームでも活躍しているクリスティアン・オットーという選手がいて、序盤で追いつかれましたが、急な上り坂で差を感じることはなかったですが、岩場であっという間に先に行かれました。 不正地においていかにスピードを出せるかの練習が必要であると思います。

自分のレースに関してですが、3分くらいの大きなミスを3回してしまった。 2回のミスは共にヤブの中のポストで、近くまでは行けたのだが点状特徴物であったためなかなか見つけることができなかった。 ポストから次のポストへダイレクトに直進したので、かなり距離があったため、ヤブでずれてよくわからなくなった。 しかし、スロバキア人で10位前後の順位に入った選手は「回避できないヤブならしっかり方向を意識して走らなきゃ駄目」と言っていたので、 ヤブを突っ切るような練習も必要だと感じました。 もしミスなく走れても40分前後であり、トップが33分なので圧倒的にスピードで負けているので、 再度言いますがフィジカル的な強化もより必要だと感じました。

スプリント

スプリントはスロバキア第2の都市コシチェのど真ん中で行われ、アップは全く無く、 町中を走ると言った感じのコースで、このようなスプリントも初めて体験しました。 そもそも日本のスプリントというのは、パークかちょっとした山なので、町中を走るような大会があってもいいのかなと思いました。

今回のレースは、かなり簡単なコースであったので単純に走り負けた感じがあります。 また2回のロングレッグで共にミスルートをして大きくタイムロス(合わせて1分半くらい)をしましたが、 ミスを引いてもとても13分台が出るとは思えませんでした。 ミドル同様にフィジカルをしっかり鍛えることが大事だと思いました。

今後に向けて

今後、僕はミドルディスタンスやスプリント、特にスプリントに特化した選手を目指そうと思います。 もちろんオリエンテーリングの醍醐味のロングディスタンスもやりますが、世界レベルで活躍するにも最も自分に合っている競技で頑張ろうと思います。 まずフィジカル的には3000mをまず9分で走れるように走りこもうと思います。 やはりインカレなどの大会で感じたように、「スピードがある」だけで上位に食い込む可能性があるので、 その可能性を上げるためにフィジカル強化をメインに行っていきます。 また幸いなことに最近はスプリントの大会が多いため積極的に参加し、毎週土曜日の早朝マラニックもたまにはパークOをやろうかと思っています。 今回は全く太刀打ちできなかったので、可能であれば次回のエストニアでのユニバーに出たいと思います。

謝辞

尾上さん、加賀屋さん、西脇さんをはじめ多くの方々のご支援のお陰で無事遠征を終えることができました。 大会中に少しでも良い結果を出そうと思っていましたが、残念ながら思ったような結果も残せず申し訳なく思っています。 ただ今回の遠征により、よりオリエンテーリングに対するモチベーションが上がりました。 この気持ちを忘れずに今後も上達できるように励んで行きたいと思います。

そして学生の皆さんへ、是非ユニバーという舞台を目指してください。 何より「楽しい」です。 それにオリエンテーリングに対する気持ちも変わると思います。 2年後はさらに多くの学生がユニバーに向けてチャレンジすることを期待しています。 学生の最高の舞台はインカレだけじゃないぜ!


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