第14回世界大学オリエンテーリング選手権大会報告書

皆川 美紀子
2003年度 東京農業工業大学卒

報告書


内容

  1. ユニバーの感想
  2. 準備
  3. トレーニング@チェコ
  4. レース結果に対する評価
  5. 最後に

ユニバーの感想

1年前までは、憧れがあるにしろユニバーは私にとって、とても遠い存在でした。 しかし、小泉さんたちが作ってくれた'ユニバーを目指す人たち'を集めたMLに入れてもらって、いろいろな情報を交換し、 お互い刺激しあっているうちに、いつのまにか自分も「ユニバーに行きたい!」と思うようになっていました。

そして迎えた4/11田原でのセレクションは、焦りから空回りをしてなかなかリズムに乗れないレースでした。 でも、なんとか自分を抑えてゴールをし、結果は6位でした。 「ユニバーは行けないかもしれない。 」と感じていましたが、推薦をいただきなんとか選手に決りました。 その時はうれしさと同時に、「絶対ユニバーまでに他のメンバーより成長してやる!」と決意しました。 というのは、リレーを走りたいというのもあったからだと思います。 ユニバーメンバーに選ばれたからといって気は抜けません。 これからが本番です。 次はこの中の4人に選ばれなきゃならなりません。 自分はセレクションでの成績は良くなかったから、どうしてもこれから先、良い成績をみせなきゃならない。 と思っていました。

ユニバーまでの約2ヶ月間、必死でユニバーに向けて準備をしていきました。 今回は自分でも満足のいくものができたと思っています。 短期間の中で多くの合宿をこなし、MLやミーティングを通してみんなで話し合い一致団結してユニバー対策をしました。 平日のトレーニングは追い込みすぎず質を重視し、周りの人の話を参考に工夫して取り組みました。 怪我をすることもなく、大変充実していたと思います。 しかしほんの2ヶ月でもいつでも上り調子でモチベーションが高かったわけではありませんでした。 疲労がたまってきたり、うまくできずに不安をかかえたり、ユニバーで何をしていいのか分からなくなったり、 学校との両立ができず、生活の中でのオリエンの優先順位に悩んだり(ユニバーに限らないのですが…)することもありました。 自分の中で処理できない時は、周りの人に相談しながら何とか乗り切ることが出来た感じです。 今回のユニバーメンバーに支えられた面もかなりありました。 みんなのモチベーションの高さが救いでした。 メンバー的におもしろかったし(笑)癒し系も…。 そのおかげで、ユニバー直前には、不安感は全く気にならなくなり、期待・挑戦・チェコを走れる楽しみ・代表としての誇り… といったポジティブな気持ちで向かえることに成功しました。

 レースはどれも実力が出せたと感じ満足がいくものでした。 なによりオリエンを楽しんで出来ました。 チェコでの生活は、毎日が楽しくてたまらないものでした。

準備

ユニバーまでに気をつけることは、体調管理とストレスをためない事。 学校とトレーニングの両立が最大の課題でした。 ユニバーまでの2ヶ月間なので、無理に自分のスタイルを崩さず、今までやってきたことに磨きをかけることに力をいれていました。

トレーニングは、基本的に一番時間の取りやすい朝に行っていました。 ただ朝は追い込めないので、朝出来ないスピードトレなどは別に時間を取りました。 ジョグだけでもやっていれば、トレーニングが出来ない事に対するストレスを解消できたので、朝ジョグする習慣をつけといたのは良かったです。 どうしても走るトレーニングが出来ない時は、筋トレをやって、自分にトレーニングしている、という安心感を与えてました。 また、走っているだけでは飽きてしまったり、使う筋肉にバリエーションがないので、エアロバイクやステップマシーンを利用し、気分転換していました。 走る時間や距離、速さはオリエンレースと同等であることを意識し、ロングを走れるように1時間は走りこんだり、スプリントを意識して、短い時間でスピードをあげたりしました。 スプリントは特殊なので、スプリント対策として、広いところで、地図を持って、ひたすらポストでの手続き(正置・コンパスワーク・体を向ける)の練習を行ったりして、体に速いテンポを覚えさせるようにしました。

トレーニング計画は、曜日ごとに決めるとやりたい事の方が多くて時間が足りなかったり、日常生活の予定で出来なくなったりして、計画どおりいかない事にストレスを覚えるので、1週間くらい前に学校の予定との兼ね合いで決めていた感じです。 また、水トレを利用して、モチベーションをさげないようにしました。 後は、気持ちだけ高ぶって過剰トレにならないように、日誌をつけたり、距離を減らしスピードを上げ調整したり、合宿後など追い込んだ次の日は、積極的に休むようにしました。

地図読みも良くしました。 常にチェコの地図は持ち歩き、思い立ったら見れるようにしていました。 電車は使えました。 カラコをして、いろいろレッグをつくってみたり、他の人とコースを組んだ物を交換して、プランの練習をしました。

現地に行った時に慌てないために、イメージトレーニング(というほどのことでもないんですが)をしました。 自分が走っているイメージ、つぼっているイメージ、人に会うイメージ…などなどオリエンをやっている事を考えてながら、学校までの直線道を歩いていました。

インカレでもやったのですが、'予期せぬ事を想定して、それにどう対応するか考える'ということもしました。

大体週末は合宿や大会で、平日は日平均1時間はトレーニング時間を確保するようにしていました。 走行距離は1日5~10kmくらいです。 (疲れによって短くしたり、距離ほしい時は長くしてましたが)

今回はリレーに力を入れようという事で、チーム作りも課題でした。 私たちはインカレでも力を入れてきたので、わりといい感じに進められたのではと思います。 MLの利用しトレーニング状況の報告、合宿ミーティングを使い、不安な点・注意点をみんなで考えたり、リレーの走順の話し合い、リレーのお互いの走り方、レースの感じ方の理解(情報共有するため)…とにかくお互いを知り、同じ物に向かって気持ちをひとつにする事をしてきました。 それは今回のチームは成功したんじゃないかと思っています。 リレーでこんなに走りやすかった事は、初めてでした。

トレーニング@チェコ

チェコについて次の日大会に出ました。 「視界も良いし、走りやすいし、楽しい!!」と好感触を得ました。 次の日からのトレーニング、モデルになってくると、ポストはいやらしいとこにつけられてて、 つぼることも多くなり、「視界が良いから見える」と思って気を抜いて進むと痛い目を見ると実感しました。 再度集中する事や注意する事の重要さが確認できました。 気合を入れなおしました。 しかしLongテレインに見られる岩岩地帯のモデルがなかった事が不安でしたが、それは割り切って次の日のLongに備えました。

レース結果に対する評価

Long

予想してた通りトップスタートになりました。 自分的にトップスタートがどうしても嫌いで1回は嫌だ、と思ってしまったのですが、めったに出来ないんだから「ラッキーだよ」と思うようにしました。 それは良いにして、バスの到着時間が遅れて、会場で慌しかったし、計画どおり行かない事が許しがたかったのですが、気にしないようにしました。

スタートした時、1番やってはいけないくせがでてしまいました。 まだテレインに慣れてないのに、スピードを上げて突っ込み、途中で不安になり、根拠なくふらついていました。 全く分からなくなり、頭が真っ白になりました。 でも、落ち着け~と言い聞かせ、何とか1ポにたどり着きました。 その後はやっと自分のオリエンが出来るようになりました。 大きくつぼることもあったし、プランもまだ甘いところもあったのですが、今の実力どおりに攻められました。 やはり岩岩がイメージできなくて苦戦しましたが、後半には少しはわかるようになってきました。

今回のレースで、最大に評価できるのは常にポジティブで、積極的に行けたことです。 いつもなら「まだまだポスト残ってるなあ。 つぼらないか不安」と思うところを、ユニバーではまだポストが残っている事が、

「つぼってもここから頑張ればとりもどせるかも」と希望に感じた事です。 やっていて本当に楽しかったし、生き生きしてたと思います。 海外選手と並走もできて、速い人たちのOLを見れたのも収穫です。 その時感じたのが、スピード的に追いつかないんじゃなくて、ポストでのスムーズさなどの違いから差がついてるのではないか、ということでした。 海外選手がバカ速い速度でやってるんじゃないかと恐れていたのですが、見てみたら尋常なスピードで、少し希望を感じました。

Sprint

前日のlongとまた気持ちを切り替えて、スピードと集中力の勝負だと思って挑みました。 今回がユニバーでのsprintは初ということで、成績を残すことが目標で、あとは20位以内に入りたいと思ってやりました。 Sprintは距離が短いだけにつぼることが怖く感じる事が多かったけど、スタート前はそんな不安にも打ち勝って(スプリント練習の成果だと思います)、良い緊張感でスタートに立てました。 始まると頭よりも体が先に動いてく感じがして、それを制御するのが大変でした。 そんな状況の時に集中力が欠けるとリズムが崩れてしまうけど、1個所以外は自分でも満足いくくらい集中していました。 前に人がいて流れの中で出来たからでしょう。 スピードも上げながら、必死で地図を読み、デフを確認し、パンチし、すべてに気持ちを注ぎました。

結果は34位と目標にいかなくって、「もっと縮められたのに」と思えるとこもあったのですが、すべて実力と受け止められました。

Relay

いよいよメインのリレーです。 このときを本当に待ち望んでいました。 前日はすごく落ち着いていたのを覚えています。 これが今までの合宿でチーム作りをしてきた成果だ、と実感しました。 私は2走で番場さんの帰りを待ってました。 信じていたので、待っていても全く負担を感じませんでした。 いつタッチを受けても自分のレースが出来る気がしていました。 そして、番場さんからの情報を受け取ってからスタートしました。 1ポは相当慎重に行きました。 私たちはペナらないで、きちんと成績を残すことを目標にしてたので、確実なプランを約束してやることになってました。 その作戦どおり距離が伸びても、道を引っ張り、アタックを極力簡単にしました。 いつもなら距離が増える事に対するストレスがかかるけれど、今回はみんなで考えてきたので、プランを確実にすればするほど安心して、落ち着いて走る事ができました。 やはりビジュアル後は弱く、無駄な動きもありましたが、全体的にいつもどおりのことしかしなかったです。 良くも悪くも実力のままが出た気がして、今回の役目は果たしたのではないかと思います。 ラスポ~ゴールは死ぬ気で走りました。 地図を投げ捨てて走ったのが、楽しかったです(笑)

全体的に、そこまで快心のできがあったわけではないし、いっぱいつぼっていたのですが、満足度は高いです。 たぶんこれが今の実力で、それを出し切れていたからだと思います。 数字をみるとトップとの差に悔しさを感じます。 話に聞くより実際にレースをして、自分で感じてくる方が重く、くそ~と思いました。 このことを感じてこれただけでも行った価値はあったと思います。 海外選手は速いけど、同じ人間なんだから私たちも戦える!と思います。 差は大きくても、希望は捨てたくないです。 あきらめたらその地点で負けです。

今回、初の代表として海外遠征をしたのですが、レースに向けての準備、レースをどう臨むかなど、たくさんのことを学べました。 この経験を生かして、また次を目指したいです!まだまだ改善点もたくさんあるし、もっと自分を向上させたいと思います。 今回ユニバーに行けて良かったです。 ユニバーにかけた時間は私の中で、とても価値があるものになりました。 遠征している時は毎日が楽しく充実していて、すごく長く感じるし、あっという間に過ぎてしまう感じもありました。 この感じは、口では説明し切れないと思います。 多くの人にこの経験をしてほしいと思います。 2006にはスロバキアで開催される事が決まっています。 多くの人が目指してほしいです。 もちろん私も出場資格があるので、ねらいたいと思います。

最後に

今回一緒に同行してくださった加賀屋さん、寿理さん、尾上さん、合宿スタッフとして協力してくださったみなさん、 学連のみなさん…いろんな人のご協力により私たちは充実した遠征を行えました。 本当にありがとうございました。

農工大の現役&OB・OGの方々、あたたかいご声援ありがとうございました。

そして一緒に競い合って、励ましあって、濃い~時間をともに過ごしたユニバーメンバーのみんな本当にありがとう! このメンバーの一員となれたことがすごく幸せだったし、私の誇りです。


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