第13回世界大学オリエンテーリング選手権大会報告書

高橋 善徳
1999年度筑波大学卒

報告書


内容

  1. ユニバーの感想
  2. ユニバーまでの準備
  3. レース結果への評価
  4. 反省(今後へのアドバイス)
  5. チームに対する要望(合宿の内容、コーチング、スタッフの体制など)
  6. 今後の自分の目標

ユニバーの感想

2回目の出場であるのでもちろん結果を残すために挑んだわけだが, その目標に対して「成績として」有意義なものを得ることはできなかった。 応援していただいた人に対しては申し訳ないなと言う気持ちでいっぱいだが, 去年一昨年と自分が世界戦で経験した事よりも多くのことを得ることができた。 今後について深く考えることができるユニバーであったと思う。

ユニバーまでの準備

現状認識(4月時点)と目標設定
技術
基本的な技術,プラン,歩測,コンパスワークなどをある程度のスピードでこなせる。 スピードが上がったり,後半になると,その技術が適当になる。
体力・スピード
60分以降のスタミナに不安がある→技術的な不安とリンク。登坂力が弱い。 スピードがたいしてない。
精神面
本気で結果を出したいレースでは,ナーバスになりやすく,気分的にリラックス していてそのレースを楽しみにしているときは良いレースができている。
目標

ショートA決勝,4日間の安定したパフォーマンス。

課題と対応方法

大陸的なテラインでのプランニング&ハイスピードへの技術的対応→朝の読図
後半のスタミナ育成→LSD,極限走,不整地走
余裕を持ったハイスピード→スピトレ(3'20/Km)

前回のユニバーの感触から, しっかりとした準備ができれば目標は必ず達成できる妥当なものだった。

スピードに耐えうる技術を固めるために, プランニング,歩測,コンパスワーク,現地 との対応などのトレーニングを明るい早朝, 出勤前に行った。

部活動の指導が終わってからコンビニでパ ンなどを買って食べ,およそ8時から8時半 くらいから9時から10時くらいまでトレー ニングをし,その後夕食を食べて寝るという 生活をした。

1週間のトレーニングスケジュール
地図読み歩(走), 軽めのジョギング
地図読み歩(走), LSD
地図読み歩(走), プール,エアロバイク
地図読み歩(走), スピトレ
地図読み歩(走), 軽めのジョギング
部活動, 長めのランニング
オリエンテーリング

1週間のトレーニングの流れは,学生時代の延長で行った。 LSD,スピトレなどは,1人か学生と数人で行った。 この手の負荷の高いトレーニングは1人で行うことがいかに大変なことか思い知らされた。

トレーニング時間は確保できるのだが,はじめての慣れない仕事でアクシデントが続き 寝ていても回復している気がしなかったので, 走るだけのトレーニングだけでなく積極的に大学のトレーニングジムに行き エアロバイクをこいだり,筋トレをしたり,プールに行ったりと気分転換もしながら, とにかく毎日動くことを意識していた。

量的なものが確保できないと落ち着かないたちなので,トレーニングを時間で管理した。 仕事の都合で合宿に1日または1日も参加できない日が多くあり, 取り残されている感じを受けたり焦りを感じていた。 自分で車を運転していたので移動には困らなかったが, 早朝に出発してミーティングまで出て夜中家に着き, 翌日出勤などはさすがに疲れたが,好きなことができることと, 目標に向かって頑張っているんだと思えたことで苦にはならなかった。

予定では4,5月のトレーニングの成果として東大大会優勝を目標においていたが, 全くイメージ通りの走りができなかった。他の選手が確実に力を付けているのに, 自分は遅くなっている,ユニバの目標とのギャップを少しずつ感じ始めていた。

6月は少しずつ暑くなり始めたが,トレーニングは充実していた。 合宿には相変わらず参加できない日があったが, 毎日マップを使った地図読み走系のトレーニングは行っていたので あまり不安にはならなかった。しかし,この手のトレーニングは30-40分くらいやるのが せいぜいで,1日山でオリエンテーリングをするほうがよほど良い。 気分的な不安を取り除くことしかできなかった。

7月に入りトレーニングや練習会で他の選手に先行されることが多くなり 彼らはトレーニングが確実に力になっていることが分かった。 正直言ってかなり焦ったし4月末に立てた目標とのギャップがさらに広がったことが 自分でも認識できてかなりナーバスになったが, この時期からトレーニング量を上げることはできないので 技術的な部分のトレーニングを集中してやり疲れをためず遠征に備えた。

レース結果への評価

ショートの予選はいいレースができた。ミスはしたがそれ以外はまあまあの手応えだった。 ミスを抜いてボーダー。2年前と全くかわらない結果だ。他のレースも全くさえなかった。 自分の体力的な部分に不安があり,リスキーなレースをしまいと望んだはずが リズムのないぼてぼてっとしたレースになってしまった。

反省(今後へのアドバイス)

環境が変わり,その環境に対して順応するようにトレーニングメニューを組めなかった。 トレーニングメニューは学生時代ならこなせていたかもしれないが, 回復の時間を十分得ることができず,毎日のトレーニングで満足感を得ることはできたが, どちらかというと低負荷のトレーニングが大半を占めてしまった。 もっとメリハリを付けてトレーニングしないと 今の環境でのレベルアップは難しいと感じている。 オリエンテーリングの大会や合宿に出られないことは、 かなりのストレスになった。 自分なりに工夫して公園などでオリエンテーリングをする機会もあったが, 長時間,高負荷でこなすことはできないのでその分レベルダウンしてしまった感がある。

4月はじめに立てた目標と自分の現状とのギャップが大きくなっていく事によって ナーバスになっていった。目標の見直しをするべきではないが (準備段階であきらめたらそれこそ意味ない), それを相談できる人に相談できず抱えてしまった。 そういうメンタルな部分のサポートもあれば有り難かった。 それと、各期間で自分の目標へのアプローチを再検討する機会があれば良いかもしれない。 質問用紙にするなり方法はたくさんあると思うが、とにかく目標への距離を見極め必要ならば 改善することは重要だと感じた。

今後社会人1年目の選手がユニバーに出場する機会が増えると思うが ,自分のトレーニングについての構造の再構成を考え, できるだけ効率よくトレーニングができるように早めに対処するべきであろう。 それと合宿の機会だが今回は数多くの合宿を開いていただいたので2回に1回は 参加することができた。社会人の場合, 合宿に出られる機会も少ない場合があるので都合がつく時に合宿があるのは 非常に有り難かった。もっと出られたら良かったが…。

チームに対する要望(合宿の内容,コーチング,スタッフの体制など)

合宿はかなり充実していたと思う。 メインテーマは「速さ」の中の「正確な」ナビゲーションの実現。 であったと思うが,それに対してのメニューは組まれていたと思う。 今回海外のレースで感じたことは日本ではAをつなぐコースが組まれるが, 世界大会では藪をつなぐコースが組まれる (中間部分は高速でアタックが非常に難しいところにおいてある)ということだ (そうしないと差がつかない!)。この点は日本でやっていなかった部分なので 非常に苦労した。藪の中にコントロールがおかれると宝探し状態になってしまう。

今後の自分の目標

来年の世界選手権でリベンジを果たしたい。 今回のユニバーは結果を出す事に固執しすぎで小さくまとまってしまった感がある。 今年度いっぱいは目先の勝利に固執せず, 自分のオリエンテーリングの懐を深くしていきたい。 具体的には,体力的にすごくタフになること。 スピードを付けること(記録会や陸上の大会への参加も含む)。 スピードに耐えられる技術を確保すること。スピードを上げられる技術を確保すること。 しばらくは結果が出ないと思うが割り切って考えることにする。 来年はこういう残念な気持ちには絶対になりたくないので…。


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