第12回世界大学オリエンテーリング選手権大会報告書

山口 大助
年度大学卒

報告書


内容

  1. 概要
  2. 現状
  3. 課題と対策

概要

目標および結果
クラシック40位以内→ペナなんて論外

タイム的には走った実感とほぽ同じ120%程度だった。ベストレースにはいかないが、ベターなレースの下には入るレース内容だと思う。ベストレースまでいかなくともあと4分は縮まるが、あと4分縮めたとして、北欧の強国が来て40位くらいに入れるタイムだと思う。

ショートAファイナル→論外。

しかし1番でのミスがないとしてちょうどボーダーであるのは評価できると思う。細かいミスを含めて十分に予選通過のスピードであるのは実感できた。「たら・れば」の語を結果の欄には盛り込みたくないが、内容として評価できると恩うので一応書いておく。ただし、このスピードをいかなる状況下でも発揮するには課題は山積みである。

本番でどんなレースをしてそういう結果になったのか?
クラシック

体に疲労がたまっていたこともあり、堅実なレース(自分の感覚では、ユニバー予選くらいのできだと思う)
→各国の工一ス又は準工一ス級に次々追いつかれる。その後、彼らと抜きる抜かれつのレース展開に。コントロール周りのアプローチで先行するも、走りの部分では彼らの追い込みに圧倒される。別についていけなくはないんだけど。
→最終的には、懸念していた体力切れで集中力を欠き、コントロール周りで細かいミスを繰り返す。

ショート

ショートでは、ミスを抑えたレースをするつもりであった。しかし、ただ堅実にレースを進めていただけではだめだという気もあり、走るスピードはあげていかなくてはいけないなと思っていた。
→結果として1番でとんでもない異次元空間に飛んでいってしまった。自分の限界まで追い込んでいるっもりはなかったのであるが、それでも普段の自分のぺ一スよりは速いスピードで入ってしまったようだ。
→はっきりいって1番の時点で絶望的な状況であるのは容易に想像できた。しかし、ここであきらめては何の意味もないレースになってしまうし、昨年の世界選手権でもトーレ・サンドヴィックは1レッグ7分の大ミスをやらかしながらも予選を通過していることもあり(もっともテレインの条件は大きく違うのだが)、最後まであきらめず自分のレースをしようと心がけた。
→予選通過は案の定果たせなかった。しかし、最後までレースを捨てなかったことで内容としては評価に値するラップを事実として残せた。どれくらいのぺ一スでヨーロッパの人たちが走っているのかを自分のぺ一スと比較できたことは非常に有意義であった。

目標達成のために何が必要だと思っていたか?

以下に示す3点を課題として取り上げた。

コントロールのアプローチには、地図読みの厚みやコンパスワークの正確性などが含まれる。これはユニバー予選の頃から取り組んでいた。幅を持たせた地図読みについては合宿で、丁寧にラインをたどろうとしすぎでスピードを出せないことが分かったために追加した。

この中で、レースの結果に対し最もクリティカルになるであろうと思っていたのはコントロールヘの正確なアプローチであった。また、コンチネンタルテレインにおいて走り負けていては勝負にならないので、体力面での充実は最低条件であると思っていた。

そのため、生活の変化からきた体カの低下という現状を踏まえ、準備期間において最も重要視したのは体カ面回復である。その次にコントロールヘの正確なアプローチに必要である地図読みの厚み及びコンパスワークであった。

準備段階において

上記のことを課題としてあげ、ユニバーまでの準備期間に何をしたか。

トレーニング内容等について
5月から6月中ごろまで:週60キロくらい
練習の内容としては、合宿・大会参加、またそれらのない週にはLSDをするように心がけた。また週に1回は10キロ前後のぺ一ス走(キロ3分30秒から45秒くらい)をするようにした。長時間追い込んで走りつづけられるように意識していた。インターパルトレーニング(1000mX5,3分5~1O秒くらい)は渋谷に走りに行ったときくらいにしかやっていない。この頃は、平日は継続的に技術的なトレーニングはせず、週末のトレーニングにあわせ地図読みを行っていた。
6月下旬から7月下旬まで:週30キロくらい
この時期については個人的な理由により全くトレーニングはできなかった。オリエンテーリングもしていない、練習は昼休みに5キロ走ることを主としていた。以後、昼トレは継続的に行うようになった。
8月:週60キロくらい
週末にはマラニック・駅伝・合宿とトレーニングを充実させた。1ヶ月のプランクが大きくのしかかり全く走れなくなっていたため、フランスヘ出発する1週間前までは負荷の高いトレーニングを続けた。また地図読みのトレーニングについては、通勤電車の中で可能な限りは行うようにしていた。ただし、地図読み走などは行わなかった。

今年、杜会人になったわけだが、周囲の人もよく言うように「時間がなかなか作れない」というのは、確かであった。その中でトレーニングを自分なりには続けてきたつもりである。しかし、少ない時間をトレーニングにあてようとしたときにどうしても体のケアを怠ってしまう。アイシングなどは心がけたが、ストレッチなどを十分に行うことができず慢性的に疲労がたまってしまった。トレーニングはよく距離で評価するが、「負荷のそれほど高くないトレーニングを無理やり行い距離を稼ぐ」という現実でいいのか?

この評価法に大いに疑問を感じる。鹿島田さんはトレーニングの負荷に応じて、実際の距離に係数をかけて評価をしているというのを見たときがある。僕もこのような方法で自分なりに評価をしていくのが必要となってくると思う。その評価は疲労度とも密接に関わってくるものになるであろうし、自分への讐鐘となるものであると恩う。十分なケアは、トレーニングと同等またはそれ以上に大事である。

作手・つくばROC大会で3位だったが…

村越さん・松沢さんから離されての3位だったが、その主たる要因を生活の変化からくる体力の低下だけに押し付けていなかっただろうか?そのレースに臨んだ時点での自分の限界までおいこんでいただろうか?
→トレーニングを主に低下した体力の回復にあてていた。地図読み等のトレーニングは、通勤電車内での地図読み練習などにとどまった。体力的にはかなりのレペルまで戻っていったように思う。しかし、その体力(スピード)に見合った地図読み・状況判断の練習をしていなかった。

トレキャンに入ってから

トレキャンに入るのは、みんなより少々遅れた。初日は全く走れずにかなり焦りを感じる。2日目はテストレ一スであったが、序盤のアタック時に、直進の失敗で大きなミスをする。それ以外はレッグの半ばで小さなミスをするものの、アタックなどに大きな問題は感じなかった。残りの日程は、主にスピードを上げた時の直進の練習を試みた。モデルの終わりには感じを掴めてきたが、この感じをつかむのに随分時間がかかり、結果としてかなり疲労を残してしまうことになった。

現状

限界スピードでのオリエンテーリング

村越・松沢・私における、以下に示す3点を対象とした限界スピードの概念図を示します。各軸はそれぞれの項副こおける限界スピードを示しています。あくまで概念図ですから、具体的な根拠はありません。コンパスワークなどの手続きのスピードは、各項目の中の一番小さな値が限界でしょうか?いろいろと複雑でよくわかりません。

村越さんの評価を(体力:4,地図読み:4,状況判断:4)とすると、松沢さんは(5,3.8,3.8)くらいであると想定されます。レースにおける各人の限界スピードは、この3項目の中の最低値であるといえます。すなわち村越さんは4、松沢さんは3.8くらい。最近は松沢さんも村越さんに勝つことがありますが、実際は限界スピードの何割のできだったかの違いなので、それくらいカとして接近してきているのだと思います。

一方私はどうであるか?実状は、(4.5,3,3)くらいであると思われます。すなわち限界のスピードは3くらいしかないのでしょう。4月頃は体力が3くらいでしたが、それに見合った地図読み・状況判断のレベルであったのでまとまったレースができていたのだと思います。その後のトレーニングで、地図読み・状況判断については多少レベルが上がったと思いますが、体カ面での上昇に比べれば微々たるものであったと思います。ユニバー予選後に松沢さんに書いていただいた文章のなかに「一段早いスピードでまとまったレースを目指す」ようなことが書いてあった気がしますが、実際は「体力面だけが1~2段ステップアップし、地図読み・状況判断などは0.5段くらいしかアップしていなかった。」ということでしょうか。そのような状況で一気に2段くらいステップアップしたようなレベルを目指したので破綻をきたしたのでしよう。

課題と対策

気合の弊害

本番でみせたような気合を練習段階で見せていたか?→N0

高橋尚子を例にあげるのは極端な話かもしれないが、彼女はシドニーのコース、そしてライバルに勝つために、その何倍も厳しい条件で、他の人の真似できないような練習をこなしている。本番では、練習していること以上のものはでない。それならば、練習では本番で望むオリエンテーリングのぺ一ス以上を常に心がけなければならないだろう。ここでいうぺ一スはランニングスピードだけでなく、上述した地図読みのスピード、的確な状況判断(リロケート)ももちろん含んでいる。90分集中したレースを望むのであれば、90分以上集中するレースを心がけるべきである。日本のテレインだからといって限界スピードでオリェンテーリングしていれば集中しないですむということはない。具体的な練習方法としては、先日紹介されていたデンマークチームのトレーニングの中にあった10キロのコントロールピッキングなどというのも有効であると思う。集中してこなさなければ意味がないから、徐々に距離を伸ばしていくのが得策であると思うが。

技術的課題

今まで見えていなかった自分の技術的課題が見えてきた。ユニバーと言う舞台で初めて自分を本当に追い込むことができたおかげである。

サムコンパスで隠れている部分…

私は昨年の世界選手権の予選あたりからコンパスを自分の使いやすいように改良を試みていた。自分としては、その試みは一応完成したつもりであった。咋年あたりはまだ「直進の能力」を高めることが大きな課題であり、「長い距離の直進時にリングをまわすことができる」「直進の距離を容易に測れる」「地図と同じ手にもっていても疲れない」といった要求を満たすのが、自分のコンパスの改良ポイントであった。その意味では、ひとつの完成形は見たのであろう。

今回のショート予選でランニングスピード・地図読み・リロケートを自分の限界スピードまで追い込んだ。その結果として、自分を追い込んだ状況では以下のことができていないことが分かった。

ばっと見て地図読みをレたときに、コンパスのプレート部分に隠れている部分、すなわちレッグ線に対して左側の情報が、全く捉えられていない。これは特に1番コントロールで顕著である。それ以降のレッグは、そのレッグに入る前にある程度地図読みを終えているから多少は問題が隠れる。

上記の状況下で、自分の読めていない情報が目の前に現れてきた時に、読めている範囲内で都合のいい解釈をして次の行動をとってしまう。それまで確認してきたものを全く活用しない時もある。すなわちリロケートの基本的な手続きができていない。

原因:

対策:

ロングレッグのルート選択

今回のクラシックのロングレッグでは、ルート選択でかなり迷うことが多かった。どちらのルートが早いのか?ということがいくら地図を読んでも繕論付けることができない。最終的にきめるのだが、迷いをもったまま走ってしまう。

原因:

対策:


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