第12回世界大学オリエンテーリング選手権大会報告書

深沢 博子
年度大学卒

報告書


内容

  1. 準備について
  2. トレーニングキャンプについて
  3. 大会を通して
  4. おわりに

準備について

体力面では、インカレ時期以外それまで月々20キロ程度しか走っていませんでした。そのため、とにかくユニバまでに5日間連続で走りきれる体力をつけることを目標に、4月の選考会から7月までに月間走行距離を120キロに持っていきました。ユニバ合宿で「目標とする大会の2ヶ月前までに体カをつけないと使えない」と聞いたので、主な体力作りは8月の頭までにしよう、と恩っていました。

トレーニング方法としては、家の周りの地形の起伏を活かして数コースつくり、その日の体力や時問、鍛えたい部分などを考えて、コースを選んで走るといったものが主で、その他は、週に1度地元のトラックに行き、ぺ一ス走をしたり、速いぺ一スを体験して刺激を受けていました。また、週末オリエンテーリングがないときはマラニックをしました。

おおまかな日走行距離としては、

でした。月曜日は週末の大会やマラニックの疲れがかなり残っているため、トレーニングはしませんでした。

仕事などにより生活が不規則だったり、体の節々が痛かったりして、トレーニングの中心は「距離を稼ぐこと」となり、多少気まぐれな内容で、ぺ一スもその日その日でまちまちでした。そのため割合楽しんでトレーニングできたものの、きちんとしたメニューに基づいてトレーニングするところまで出来なかった点については、反省すべきところだと思います。

トレーニングを重ねるにつれ、いままで感じたことが無かった足の重さを毎日感じるようになり、歩くことも億劫になった時期がありました。それからは、トレーニング後にストレッチとアイシング、軽いマッサージをするようにしました。

地図読み練習は主に通勤電車の中でしていました。地形を読むこと、素早くプランニングできること、確実なイメージを持つこと、を目標にし亡いました。しかし体力が身につく一方で、技術面はなかなか向上しませんでした。

私はひとつのミスが大きく、またひとつミスをすると連続してミスをする傾向があります。原因は、とにかく地図読みからの情報の取捨選択が出来ていないこと、プランニングからのイメージができていないうちに走り出すこと、地形が読みきれていないことにあります。「速く走りたい」という焦りばかりが先行してしまうのです。イメージする以上に走るスピードが遠くなって、合宿や大会で走っても、走りとイメージがばらばらになってしまう状態が、トータス大会まで続いていました。トータス大会最終日になって、ようやくその2つがシンクロできたかな、と感じました。

メンタルな面は、直前まで整っていませんでした。

私は、技術力不足を集中力で補うようなレースをすると、割合まとまったレースが出きます(もっと上手くなるには、このようにストレスのかかるものに頼る事は避けた方がいいと思いますが)。

しかし、精神状態が不安定だったため集中しているフもりでも出来ていなくて、そのためレースも上手くいかなくて、そんな状態が続いたためずっと自信喪失気味でした。

原因は、4月の選考会で上松さんの辞退により選考が決まったこともあり、自分の意識の中で、「他のメンバーに比べて、自分はどこもかしこも劣っているから、とにかくみんなの足を引っ張らない程度にまでならないと」という気持ちが強かったことにあります。それがレースにまで反映されるという苦しい状態でした。

しかし、合宿等を通じてコーチの方々からある種の"喝''をいただいき(これには本当に感謝しています!)、それ以降はかなりリラックスすることが出来ました。出発前には、完全に「自分のオリエンテーリングをしよう」という気持ちが整っていました。

トレーニングキャンプについて

トレキャンでは、とにかくプラン・イメージ・正確性を意識し、集中して走ることを心がけました。現地では、プランと先読みのイメージをあわせて走る感覚の確認と、アタックをいかに早く正確に行なうかが大きな課題でした。また、体力不足を自覚しているので、体力と相談しながらやりすぎないようにしました。

初日は、とにかくフランスの山の感じをつかんで、基本的な手続きの確認のみをしました。植生に関して・日本との感覚の違いをかなり心配していたのですが、ベリーが多くてかぶれる事を除けば、あまり不安は感じませんでした。それより、なんとなく森の雰囲気が八ヶ岳みたいで、親しみが沸きました。

2日目からは集中したレースを心がけたのですが、午前中で大失敗。脱出ミスを繰りかえしてしまいました。原因の多くは、焦りと集中力欠如による地図読み不足でした。きちんとプランし、イメージする前に走り出してしまう、いつものミスパターンでした。その課題については、かなり注意して取り組んでいたっもりだったので、かなりショックでした。その日の午後の直進メニューは、午前中の反省を活かして気合を入れなおして走りました。ここで調子が掴めた様に思います。

3日目は、0Lの感覚が掴めている事が確認できたので、午後は体力回復のため休みました。連日のトレーニングでかなり疲労が溜まっていたので、ここでの休息は良い判断だったと思います。

トレーニング以外の生活は、とにかくなんでも楽しみました。特にレストランでの食事は、とても美味しく楽しかったです。フランス料理はなんとコースなので2時間かかったり、フランス人マスターは本当にフランス語しか謡さなかったり、フロマージュが美味しいと言ったら大きいのがど一んと出て来たり、といった、小さな出来事がとても面白かったです。かなりリラックスできて、レースとのメリハリがつき私にはとても良かったです。

大会を通して

大会期間中一番気を使ったのは、連日走っている事による疲労の蓄積の回復でした。走った後、疲労が気になる部分には湿布をしました。また、マッサージは村越さんにしていただいたり、自分でしたりして必ず行ないました。

食事については、ついつい摂りすぎてしまう傾向があったので、少しずつ様子を見ながら加減しました。レース前の朝食は、炭水化物を中心に摂り過ぎない程度に沢山食べよう、と恩っていました。

水は、部屋の水も飲める、との事だったのですが、少し着色が見られたのでやめました。配布されたVittelは硬度が高いため口に合わず、のむ気がしませんでした。なので、Volvicを買って飲んでいました。レモン味とオレンジ味のVolvicは、レース前に飲むとさっばりするし、なんとなくお腹が落ちつく感じがして好んで飲みました。

レースは、とにかく集中力を維持し、プラン→イメージ→実行→確認という流れに沿ってきちんと手続きを踏む事を心がけました。クラシックは、その点でかなり上手くいきました。集中が切れる事なく、常に周りがよく見えていました。自分は足が無いので、ショートではとても成果が出せそうにないから、クラシックで頑張ろうと気合が入っていたから、という面もあるかもしれません。とにかく、調子が良かったです。

ショート予選は、周りのスピードの速さにのみこまれて、感覚が掴めずに走ってしまったところがあります。少しでもスピードを上げようと思って前方の選手を追いかけ、オーバースピードになり、地形が読み取れずありがちなミスをしました。前日の疲労が少し残っていて、思ったように足が上がらず前に進めなかった、という原因もあると思いますが、それ以上にテラインの特性から要求される走りがどういったものなのか、体で分かっていなかったと思います。予選では、自分のことより、いときょうのバースデー通過がとっても印象的なものとなりました。

ショート決勝は、前日の反省を活かし、集中しつつ、自分なりにスピードを上げて走ろうと思っていました。しかし、アタックからコントロール周りの間で決まらなくて、結局ミス率の高いレースになってしまいました。予選と違い、決勝ではスピードに地図読みがついていかなかった時にミスが生じました。スピードに対して自分の限界はどこまでなのか、どういったミスをするのか、自覚する必要があると思います。かつ、そのギリギリの所でいかに速く走るかが必要だと恩います。

ここまでの3日間で、相変わらずミスをするものの、普段日本のレースでしてきた大きいミス&ミスの連続を、少し減らしたレースをすることが出来たと感じています。レース中はミスしない事が前提ですが、例えミスをしても、いかに小さく押さえるかが重要だと感じました。4日目のリレーで、自分も走らせていただけると聞いた時、自分に求められているものはそれだと思いました。しかし、結果的にはごくごく初歩的なミスで大きくタイムロスしていまいました。これにはとっても後悔しています。

普段よくやる失敗をしないために、自分にできる最善の解決策は今のところ集中力の維持だと感じています。私はひとつのミスによるタイムロスが大きいので、ミス率をいかに低く押さえるか、というのがかなり鍵になっています。その為には集中力維持しかないのが現状です。しかし、どうしてもそれは守りのレースになってしまいがちです。今後、体力と技術力をつけ、スピードのある中でいかに追い込んだ攻めのレースをするか、が自分の課題だと思います。

大会全体を通して感じたこととして、チームとしてのまとまりがもうすこしあるといいのでは、ということです。基本的には個人競技であるので、不必要と考える人もいるかもしれませんが、もう少し内面的なコミュニケーションを交わせる場があるとよかったのではないかと思います。でも、総合的にはとってもとっても楽しく過ごせました。楽しいチームだったと思います。

おわりに

ここに至るまでに、本当に沢山の方々に応援していただき、支えられ、励まされてきました。皆さんに心から感謝しています。どうもありがとうございました。


一覧へ戻る