第9回世界大学オリエンテーリング選手権大会報告書

鹿島田 浩二
?年度 東京大学卒

報告書


競技者にとっての大きな楽しみの一つは、練習や競技会への参加を通して、準備と結果の関係を見いだすことであると思う。十分な準備をし、それに見合う成績を取ることで、次にむけてのトレーニングの動機付をする。強い奴が自分より豊富なトレー二ングをしていることを知ってなぜかホッとし、そして自分も今以上に頑張る。そんなステップの一つ一つがOLの競技選手である僕にとってはたまらなく楽しい。

とすると、今画の僕は今までにない大きな楽しみを得るチャンスであったにもかからわず、その大きなチャンスを目前で失ったことになる。これまでにない十分な準備をし、体カ的にも技術的にも不安は一切なく、自分にとって最高の状態で迎えることのできた94年のユニバーシアード。逃した魚は大きいというが、これだけ最高の状態で臨んだ舞台で自分はどれだけのパフォーマンスができたのか、この結末をみることのできなかったのは非常に残念である。素晴らしい結果を残すことができたのならば、自分の準備に大いに自信を持ち、ドイツヘと更に飛躍を試みるであろう。あるいは準備の甲斐むなしく、惨敗したかも知れない。しかしそうだとしても、それまでの自分の準備を詳しく追い、結果と照らし合わせれば、きっと今後'に役立つ何かを見つけだせただろう。成功の快感もなく、反省の材料もなく、ただただ残念な気持ちだけで帰国の途についたときは、なにか最後の最後を見損なったサスペンスドラマを見たような気分であった。

でも、物事をポジティブに考えることは非常に大切なことだと思う。怪我をしただけで終わった今回のユニバーシアードでも、ようく考えればそれなりの意味があったはずだ。だから今回のユニバーシアードを通じて得たメリットを少し強引ではあるが僕なりに挙げてみよう。

まず、春から夏にかけての豊富なトレーニンク、これはユニバーでは生かせなかったか、今後のレースヘの準備には絶対に役立つと思う。自分が目標さえしっかりしていれば、満足の行く努力ができることも分かった。

OLができることの喜びを再発見したこと。怪我をして皆のレースを見ているあいだ、純粋に森の中を走りたいという猛烈な欲求にかられた。いつかトレーニンダが辛くなったとき、精神的にまいったときに、この悔しいもどかしさを思い出せばきっとやる気が出てくるに違いない。

岩場の多いスカンジナヴィア等では大会会場で松葉杖を見かけるのは珍しくない。特に高速で岩場を走るエリートに怪我が多い。それだけ危険が伴うのである。だとすれは、僕は限界ぎりぎりで走る立派なエリートの一人ではないか。

今回の大会で僕は、少なくとも各レースの優勝者の次くらいには目立っていた。(大会初日から松棄杖を付いていれば自ずと目立つ)。有名ランナーを含め多くの人に声をかけてもらった。数年後、「ねえ、あのショートで速かった日本入、スイスのときに松葉杖をついていた奴じゃん?」なんて言われるようになったら、まんざら怪我をしたのも悪くはないじゃないか!


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