日本トレイル・オリエンテーリング競技規則
本規則は、日本国内のトレイル・オリエンテーリング競技大会について、(社)日本オリエンテーリング協会定款第4条五項の規定に基づき制定されたものである。競技者ならびに主催者は、本規則の解釈にあたっては、スポーツとしての公正さの保持を第一義としなければならない。
社団法人 日本オリエンテーリング協会
1. 定 義
1.1 トレイル・オリエンテーリング(以下、トレイルOという)とは、競技者が地図上に示されたコントロールを指定された順番に回り、コントロールにあるフラッグ群の中からどのフラッグが地図上の円の中心にあるものかを正確に判断する能力を競う競技をいい、身体障害者のみならず健常者も等しく競うオリエンテーリングである。
競技者とは、個人あるいはチームをいう。
1.2 競技者が移動に使用できる手段は、次のいずれかである。
・ 徒歩
・ 手動あるいは電動車椅子
・ その他の認められた移動手段
2. 適 用
2.1 本規則は、国際オリエンテーリング連盟(以下、IOFという)のトレイル・オリエンテーリング競技会 競技規則に基づき、日本におけるトレイルO競技について定めたものである。
2.2 本規則は、日本オリエンテーリング協会(以下、JOAという)主催および公認大会に適用されるとともに、国内競技大会における競技規則の基本となるものである。
2.3 本規則に定めのないものについては、次に掲げる諸規則に準ずる
・ IOFトレイル・オリエンテーリング競技会 競技規則(Competition Rules for International Orienteering Federation(IOF)Trail Orienteering Events)
・ 日本オリエンテーリング競技規則
・ オリエンテーリング地図国際図式規程(International Specification for Orienteering Maps)
2.4 世界トレイルO選手権大会(WTOC)、トレイルOワールド・カップ(WC)などの国際大会に関しては、IOFトレイル・オリエンテーリング競技会 競技規則による。
3. 用 語
3.1 テレイン: 競技エリアをいう。
3.2 コントロール: トレイルOの競技において順番に回るように指定された地点をいう。 地図上には円(○印)で表示され、テレインにおいてはフラッグ群で構成される。
3.3 フラッグ: コントロールに設置される白とオレンジに塗り分けられた三角柱状のもの。マーカーとも呼ばれる。
3.4 デシジョン・ポイント(DP): コントロールに設置された複数のフラッグの配列順を決めるための、コース上の地点をいう。コースに沿った地上に設置されるが、その位置は地図上には表示されない。
3.5 タイム・コントロール(TC): コースにおいて、フラッグの判断に要する時間を計る、特別に設けられたコントロールをいう。
3.6 コントロール・カード: 各コントロールにおいて、フラッグの判断結果を記録するカードをいう。
3.7 エスコート: 競技を通じ、身体的な補助を必要とする競技者に同行し、移動、パンチなどを助ける介助者をいう。
3.8 パラリンピック・クラス: フットO競技において著しい不利益をこうむるような、なんらかの永続的な身体的障害(内的障害を含む)を持つ競技者については、健常者と成績を区分し評価する。この障害者のみのクラスを「パラリンピック・クラス」という。
4. 国内競技大会の分類
4.1 本規則でいう国内競技大会とは、主催大会、JOAに加盟している都道府県を代表する組織(以下、正会員という)の主催大会、および正会員に所属するクラブ等の団体、その他JOAが開催を認めた団体が主催する大会をいう。
5. 競技形態
5.1 競技の種別による分類
・ 個人競技(競技者個人が独立して行う)
・ チーム競技(チームとして登録した2人あるいはそれ以上の個人が独立して競技を行い、その記
録を合算する)
5.2 競技成績による分類
・ 単一レース競技: 1回のレースの結果が最終成績となる
・ 複数レース競技: 1日あるいは複数日で行われ、総合成績が最終成績となる
6. 競技責任者および大会コントローラーの選任
6.1 主催者(または主管者)は、適格なる競技責任者および大会コントローラーを選任する。
7. クラス
7.1 競技者の性別、年齢、障害の有無・程度にかかわりなく、競技レベルによって次のクラスに分ける。
・ Eクラス:エリート
・ Aクラス:競技レベル上級の者
・ Bクラス:競技レベル中級の者
・ Cクラス:競技レベル初級の者
・ Nクラス:初心者
ただし、これらすべてのクラスを設けなくてもよい。
7.2 各クラスには、8.1項の資格を有する者を対象としたパラリンピック・クラスを設ける。
8. パラリンピック・クラスの参加資格
8.1 パラリンピック・クラスへの参加資格は、身体的障害のために、フット・オリエンテーリングに平等な形で参加できない競技者に与えられる。
9. エスコート
9.1 競技を通じて移動のための身体的な介助を必要とする競技者は、エスコートを同伴しなければならない。
9.2 競技の公正さをはかるため、エスコートは主催者が用意する。ただし競技者はコントローラーの同意を得て、自己の身体的状況に必要な医学的専門知識を持つエスコートを、また、意思伝達のための通訳を同伴することができる。
9.3 エスコートは、地図読み、ルート・チョイスおよびコントロールに関する判断など、競技に影響する一切について競技者を助けてはならない。エスコートに許されることは、競技者の指示に従う移動介助、身体的援助および代理パンチのみである。
9.4 エスコートは競技者の指示に従わなければならない。競技者の指示がたとえ間違いであると判っていても、また、その指示に従った結果競技者が失格になることが判っていても、エスコートはその指示に従う。
9.5 エスコートは静粛を守り、競技者の集中力を妨げてはならない。
10. 大会開催要項
10.1 主催者は、大会開催要項を遅くとも開催日の2か月前までに配布しなければならない。
10.2 大会開催要項には、少なくとも以下の事項を明記する。
・ア 開催期日、集合地または大会会場
・イ 主催者、主管者、競技責任者、大会コントローラー、コース設定者
・ウ クラス
・エ 地図の縮尺、等高線間隔
・オ 問合せ先
・カ 申込方法、申込先、締切日
・キ 参加費、必要であればその他の費用、払込み方法
・ク 交通手段
・ケ 身体障害者用の設備
・コ テレイン情報、モデル・コースの有無
・サ コンパス貸出の有無
・シ その他、留意事項
11. 参加申し込み
11.1 競技者は、大会開催要項に記された申込締切日までに、所定の方法にしたがって大会参加を申し込む。
11.2 参加者は、参加費を大会開催要項に示されている方法で支払う。
11.3 参加申込書には一般的な内容に加え、次の事項が記載される必要がある。
・ア 移動障害の有無
・イ 移動補助具の必要の有無(例:車椅子(手動・電動)、松葉杖、ステッキ、その他)
・ウ 移動に際してのエスコートの必要の有無
・エ 障害についての、特別な留意希望事項
・オ オリエンテーリングおよびトレイルOの経験の有無
・カ 会場までの交通手段
12 大会プログラム
12.1 主催者は、原則として大会プログラムを開催日の1週間前までに送付またはインターネット上に公開するなどの方法により申込者に通知する。
12.2 大会プログラムには、10.2項にいう全ての事項(カ、キを除く)に加えて、以下の事項に関する情報を記載する。
・ア スタート・リスト
・イ 大会会場からスタート地区までの距離および所要時間
・ウ スタート地区までの車椅子等への対応を含めた輸送手段
・エ 誘導テープの色、給水コントロール、立入禁止・危険地域
・オ コースごとの距離、登距離、制限時間、コントロール数
・ (ただし、コントロール数については記載しなくてもよい)
・カ 「オリエンテーリング地図国際図式規程」に定めている以外の地図記号を使用している場合には、その説明
・キ 表彰式(有無、時刻、クラス、場所など)
・ク 身体障害者用手洗所、更衣所、救護所
・ケ その他
13. テレイン
13.1 テレインの選定にあたっては、移動に困難な競技者、車椅子を使用する競技者や、ゆっくりとしか歩けない競技者が安全に競技できることに留意する必要がある。
13.2 テレインの選定にあたっては、環境の保護および土地所有者、管理者などの権利保護に十分に留意する必要がある。
13.3 テレインが決り次第、立ち入り禁止とする。
14. 地 図
14.1 地図およびコースについては、基本的に「オリエンテーリング地図国際図式規程」に従って作成・記入される。
14.2 地図の縮尺は1:5,000を標準とするが、参加者のレベルやテレインの状況によっては大縮尺の地図を使用してもよい。また、タイム・コントロール用地図についても同様とする。
14.3 地図は地形を正確に表現していなければならない。地図印刷後に、競技の公正さに影響の恐れのあるテレインの変化が生じたときは、必要な修正を加えなければならない。
14.4 地図は、水および損傷に耐えることができるように配慮する。
14.5 地図は、コースを表示するために必要とされるサイズ以上に大きくしない。(A4版を推奨)
14.6 競技テレインが含まれる過去に作成されたオリエンテーリング地図がある場合には、プログラムにその地図に関する情報を記載し、また大会会場に掲示することが望ましい。
15. コース
15.1 コース設定に際しては、IOFが定める「トレイル・オリエンテーリングのためのコース設計の原則」(IOF競技規則 付録(Appendix)1)に従う。
15.2 コースはトレイルOの特質にふさわしいもので、競技者にとって詳細な地図読み、地図とテレインとの照合技術および集中力を試すものが望まれる。
15.3 コースは、障害を持つ競技者が制限時間内に回って来ることができるものであること。
15.4 コース距離は、スタートからデシジョン・ポイントを経てゴールまでのルートに沿った距離とし、通常は3,500mを越えてはならない。
15.5 車椅子使用者が通行できないような道幅、凹凸、倒木、ぬかるみ等のあるルートは避ける。
15.6 登距離は、ルートに沿った登りの合計をメートル(m)で表示する。
15.7 コースでは、14%以上の勾配が20mを越えて続かないようにしなければならない。
15.8 勾配の急な部分の後には、給水設備のある休息地点などの設置について配慮する。
16. タイム・コントロール
16.1 競技には、1か所あるいはそれ以上のタイム・コントロールが含まれることが望ましい。 ただし、初心者や初級クラスには設けなくてもよい。
16.2 タイム・コントロールの正確な位置に関する情報を、地図上に示してはならない。
16.3 タイム・コントロールでは、競技者は全てのフラッグが見え、その位置が確認できる場所に誘導されて椅子に座る。タイム・コントロール用の正置された地図が手渡されるか競技者の前に置かれ、それと同時にストップ・ウォッチによる時間の計測が開始される。地図にはコントロールを示す一つの円(○印)が描かれており、円の上方には同じく正置されたコントロール位置説明が示される。
16.4 明確に回答があった時点で時間計測が終わる。回答はアルファベットを表示したボードを正しく指差すか、口頭で行う。
16.5 回答制限時間は最大で60秒である(50秒の時点で警告がある)。回答と所要時間が記録され、所要時間の秒未満は、端数を切り捨て秒表示とする。
17. 制限区域およびルート
17.1 競技者が通行できるのは、地図上に明瞭に示された道や小道等または誘導箇所のみであり、それ以外
のテレイン内には立ち入らないで競技する。
17.2 とくに定めた立入禁止区域および禁止ルートは、地図上に示すとともに必要に応じて現地にもテープ等で表示する。
17.3 誘導部分(マークト・ルート)、指定された横断地点および通過地点は、地図上および現地において
はっきりと表示しなければならず、競技者はその表示に従わなければならない。
18. コントロール位置説明
18.1 地図上の円の中心に置かれたフラッグの正確な位置は、コントロール位置説明で表示される。
18.2 コントロール位置説明は、IOFが定める「コントロール位置説明作成規程」に従って表記される。必要に応じて日本語表記を併用してもよい。
18.3 コントロール位置説明の2列目(B欄)には、各コントロールに設置されたフラッグの数をアルファベットで示す(例、A - Cは、そのコントロールに3個のフラッグが設置されていることを示す)。
18.4 コントロール位置説明の最終列(H欄)には、必要に応じてデシジョン・ポイントからコントロールを見る方向を矢印で示す。例えば、北を指す矢印(↑)があれば、競技者はコントロールのフラッグ群を北の方向に見なければならず、そのためには、競技者はコントロールの南側へのルートをとらなければならない。
18.5 コントロール位置説明は、地図の表面に貼付または印刷される。
19. コントロールの設置
19.1 地図上に示されたコントロール地点は、フラッグ群によって地上にはっきりと示されなければならない。
19.2 フラッグは三面柱状で、各面は30×30cmの正方形とする。各面は対角線によって二分され、白とオレンジ(PMS165)に色分けされる。
19.3 フラッグは、コントロール位置説明と一致する地図上に示された特徴物(部)あるいはその周囲に設置する。デシジョン・ポイントからは、フラッグの面積の少なくとも3分の1が、すべての競技者によって確認されなければならない。
19.4 上級クラスにおいては、コントロール位置説明に正確に対応した円の正しい中心位置にフラッグを置かないいわゆる「正解なしコントロール」を設置することもできる。
19.5 フラッグは、標準的な高さに吊るす。地上からフラッグの底部まで50cmを標準とする。
19.6 コントロールにおけるフラッグの数は、2個〜5個とする。
19.7 フラッグは、デシジョン・ポイントから見えるとおりに、遠近に関係なく、向かって左から右にA, B, C, D, Eと指定される。
19.8 デシジョン・ポイントは、ルートに沿った地上に、コースに対応する色にコントロール番号を示した表示板をつけたポールを設置し表示する。ただし、Eクラスについては、コースの色のみで表示し、コントロール番号は表示しない。なお、各クラス名を併記してもよい
19.9 デシジョン・ポイントの位置および情報は、地図上には表示されない。
20. コントロール・カードおよびパンチ器具
20.1 によって定められたトレイルO用コントロール・カード、およびピン・パンチを使用する。
20.2 IOFコントロール・カードは競技前に配布する。コントロール・カードは2枚重ねで使用する。1枚目のカードはゴール後に役員に渡し、2枚目は競技者の控えとなる。
20.3 競技者は、コントロール・カードを補強したり、ケースに入れて保護してもよい。
20.4 競技者は、コースを通じて自分用のピン・パンチを持たなくてはならない。
20.5 競技者は、コントロールにおいて下した判断を、自分のコントロール・カードに記録(パンチ)する責任がある。デシジョン・ポイントから見て最も左のフラッグ(A)が正解であると判断した場合には、コントロール・カードのA欄にパンチする。もし正しいフラッグが設置されていないと判断した場合(=正解フラッグがない場合)には、右端の「Z」あるいは「正解なし」の欄にパンチする。
競技者はデシジョン・ポイントの近くを離れるまでに、コントロール・カードにパンチしなければならない。
20.6 自分でパンチできない競技者は、エスコートにパンチを依頼することができる。ただし、コントロール・カードに正しくマークする責任は、競技者自らにある。
20.7 一度パンチした後は、いかなる変更も認められない。
20.8 1つのコントロールについて、該当する「行」内に複数のパンチが確認された場合、およびパンチのない場合は、不正解となる。
20.9 主催者は特定のコントロールに役員を配置し、そのコントロールを離れる競技者のコントロール・カードをチェックすることができる。その場合、役員はパンチされていない行に署名し、不正解として確認する。
20.10 コントロール・カードを紛失した競技者は失格となる。
21. 競技のための用具
21.1 主催者が指定しない限り、服装および履物の選択は自由である。
21.2 競技者は、主催者の指示に従ってスタート・ナンバー・カード(ゼッケン)をはっきりと見えるように付ける。ナンバー・カードの大きさは25×25cm以下とし、数字の高さは10cm以上とする。ナンバー・カードを折りたたんだり、切ったりしてはならない。
21.3 競技者が競技のために使用してよいものは、地図、コントロール位置説明およびコンパスだ
けである。
21.4 競技中、競技エリア内での通信器具の使用は緊急時を除いて禁止する。それ以外の場合に通信器具を使用した場合は、その競技者およびチーム全体は失格となる。
22. スタート順およびスタート
22.1 個人競技におけるスタートは、競技者が一人ずつ一定の時間間隔で行うインターバル・スタートとする。通常のスタート間隔は2分とする。
22.2 各クラスのスタート順は無作為に決める。また、同一のクラブに所属する競技者が連続してスタートしないことが望ましい。
22.3 スタート順はコントローラーによって承認されなければならない。
22.4 スタートはプレ・スタート方式としてもよい。スタートは、後続の競技者に対して、地図、コースあるいは第1コントロールの方向がわからないように運営しなければならない。必要に応じてプレ・スタート地点からオリエンテーリングの始まる地点までは、マークト・ルートとする。
22.5 プレ・スタート方式では、主催者は競技者に対して競技時刻を示す時計を設置し、プレ・スタート方式でない場合は、競技者の名前を呼び出すか、掲出する。
22.6 競技開始以降は、競技者、エスコート、競技役員および主催者に案内された報道関係者以外の者は、テレインに立ち入ることはできない。
22.7 正しい地図を受け取ることは競技者の責任である。地図には競技者のナンバー・カード番号、名前およびクラスを競技者が確認できるように表示する。
22.8 オリエンテーリングが始まる地点は、地図上には三角(△印)で、地上にはフラッグにより表示しなければならない。
22.9 自らの過失でスタート時刻に遅れた競技者は、役員の指示によりスタートすることが許されるが、指定されていたスタート時刻にスタートしたものとして計時される。
22.10 主催者側の過失によりスタートが遅れた競技者には、新しいスタート時刻が与えられる。
23. ゴールおよび計時
23.1 競技は競技者がゴール・ラインを通過した時に終了する。
23.2 ゴール・ラインは少なくとも3mの幅があり、進入方向に対して直角に、競技者にはっきりと見えるように設置する。
23.3 競技者は、ゴール・ラインを横切った後に、プラスチック・ケースを含めたコントロール・カード、および運営者が必要とする場合には競技地図を手渡さなければならない。コントロール・カードの2枚目は競技者に返される。
23.4 ゴール時刻は競技者の胸がゴール・ラインを横切ったときに測られる。秒未満は、端数を切り捨て秒表示とし、時・分・秒あるいは分のみか秒のみかのいずれかで表示される。
23.5 主催者は、制限時間をコースごとに設定する。制限時間は、最大で150分とする。
23.6 タイム・コントロールにおける待ち時間、および運営上の都合や手落ちによって生じた時間の遅れは記録され、その競技者の全所要時間から差し引かれる。
23.7 エスコートは、競技者の要望があれば、いかなる場合も身体的な援助を行う義務があり、それによって生じた時間の遅れは、援助を受けた競技者の所要時間に含まれる。
23.8 スタートからゴールまでの所要時間は、制限時間内であれば、競技の成績には影響しない。
23.9 競技者が制限時間を越えてゴールした場合は、超過5分までごとに1ポイント減点のペナルティが課せられる。
23.10 ゴール地点には救護所を置く。
24. 成 績
24.1 正しく特定された正解の各コントロール(タイム・コントロールを含む)については、1ポイントの得点が与えられる。
24.2 競技者は得点したポイントの合計によって順位がつけられる。同ポイントの場合には、タイム・コントロールにおける回答所要時間により順位が決められる。得点ポイントが多く、回答所要時間が少ない者が上位となる。
24.3 タイム・コントロールにおける回答制限時間である60秒内の正解には1ポイントの得点が与えられる。回答所要時間は、秒未満の端数を切り捨てた秒表示となる。正解でない場合には、得点ポイントはなく、ペナルティとして回答所要時間に60秒が加算される。制限時間内に回答がない場合にも得点はなく、120秒がペナルティ回答所要時間となる。
24.4 競技中に複数のタイム・コントロールがある場合は、すべてのタイム・コントロールにおける回答所要時間が合計される。これは複数レース競技においても適用される。
24.5 印刷のずれ、コントロールにおけるフラッグのミス設置あるいは競技中にフラッグの紛失が発生した場合は、すべての競技者に対しそのコントロールを無効とする。
24.6 暫定成績はゴール・エリアあるいは集合場所において掲出する。
24.7 公式成績は速やかに発行しなければならない。
24.8 同スコア、同タイム競技者が2人以上出た場合には、それらの競技者は同順位となり、次の順位は空白となる。
24.9 障害者および健常者を含むオープン・クラスでの成績とは別に、8.1項に該当する障害者のみに関する成績を、パラリンピック・クラスとして発表する。
24.10 チーム競技においては、競技前にチームとして登録したパラリンピック・クラスに該当する競技者2人以上の成績のうち、上位2人の成績が合算され、チームの成績となる。
25. 表 彰
25.1 成績上位者を表彰することができる。
26. 公正な競技
26.1 オリエンテーリング大会に参加するすべての人は、公正と誠実をもって行動しなければならず、スポーツマン精神と友情の精神を持たなければならない。競技者はお互いに尊敬の念を示し、とくに健常、あるいは障害度合いの少ない競技者は、車椅子の使用者に対してコースではコントロール側の場所を提供し、デシジョン・ポイントにおける優先権を提供しなくてはならない。競技者は、テレインにおいてはできる限り静粛にしなければならない。
26.2 競技者は、不公正な行為を行ってはならない。事故の場合を除いて他の競技者やエスコートに援助を求めたり、与えたりしてはならない。ただし、負傷した競技者を助けることは、すべての競技者およびエスコートの義務である。
26.3 ドーピング行為は禁止する。
26.4 いったんゴールした競技者は、主催者の許可なしに再び競技エリアに入ってはならない。また、これらの競技者は、スタート前の他の競技者に影響を与える情報を提供したり、援助してはならない。棄権した競技者は直ちにゴールに報告し、地図とコントロール・カードを手渡さなければならない。
26.5 競技規則に違反した競技者は失格となる。
27. 苦情および提訴
27.1 競技者およびチーム役員は、競技規則の違反あるいは主催者の指示に対して、苦情を申し立てることができる。
27.2 苦情は、できるだけ早く文書により主催者に提出されなければならない。主催者は、苦情に対して速やかに判断し、その結果を苦情申し立て人に通知する。
27.3 競技者およびチーム役員は、苦情についての主催者の決定に対して提訴することができる。
27.4 提訴は、できるだけ早く文書により裁定委員会に提出されなければならない。
28. 裁 定
28.1 主催者は、提訴について裁定するために裁定委員を任命する。
28.2 裁定委員会は、異なる組織・団体からの3人の裁定委員で構成される。コントローラーは、裁定をリードすることはできるが、投票権はない。
28.3 主催者の代表は、裁定委員会に参加できるが、投票権はない。
28.4 主催者は、裁定委員会の決定に従って行動しなければならない。例えば、主催者により失格とされた競技者を復権すること、主催者により是認された競技者を失格にすること、主催者により是認されたクラスの結果を無効にすること、あるいは主催者により無効と宣言された結果を是認すること。
28.5 裁定委員会は、全員の出席をもって成立する。出席不可能な裁定委員がいたときは、主催者は代理を任命しなければならない。
28.6 裁定委員会の決定をもって、最終裁定とする。
29. 大会コントローラー
29.1 大会コントローラーの主たる任務は、競技規則が遵守されていることを確認することである。
29.2 大会コントローラーは、以下の事項について権限を有する。
・ア 身体障害者に対する配慮の確認
・イ 大会会場およびテレインの適性の判断
・ウ 大会運営全般の確認と、宿舎や食事、輸送、プログラム、トレーニング関係などの内容の確認
・エ 式典計画の確認
・オ スタートおよびゴール・エリアの運営およびレイアウトの確認
・カ 計時および成績作成システムの信頼性および精度の確認
・キ 地図の質がIOF基準に適合していることのチェック
・ク コースの審査(難易度、コントロール位置の選定、偶然性の排除、地図の正確性)
・ケ 報道に対する配慮の確認
・コ ドーピング検査に対する確認
29.3 大会コントローラーは、大会当日、大会会場に常駐する。
29.4 大会コントローラーの経費は、主催者が負担する。
30. 大会報告書
30.1 主催者または主管者は、次の内容を含む大会報告書を作成しなければならない。
・ 公式成績表
・ 各コース地図
・ 正解表
・ 大会についてのコメント
31. 付 則
本規則は平成17年 6 月12 日より改訂施行する。
平成17年6月12日 改訂
参考:・「トレイル・オリエンテーリング ガイド・ライン」(トレイルO委員会)
・「トレイル・オリエンテーリングのためのコース設計の原則」(IOF競技規則 付録Appendix1)
については http://www.orienteering.com/~trail-o/ に収録する。
トレイルO委員会