| コース設定の原則 |
本原則は、国際オリエンテーリング連盟(IOF)が定める「コース設定の原則」に基づき、フット・オリエンテーリングのコース設定について定めるものである。本原則は、日本オリエンテーリング競技規則(以下競技規則という)12.2に適用されるものとする。
社団法人 日本オリエンテーリング協会
1. 序 文
1.1 目 的
この原則は、オリエンテーリング競技における公正さを保証し、オリエンテーリングというスポーツの特性を維持するために、コース設定の共通基準を確立することを目的とする。
1.2 適 用
国内におけるすべてのオリエンテーリング競技会のコースは、この原則にしたがって設定されなければならない、また、この原則はその他のオリエンテーリング競技におけるコース設定のガイドラインにもなる。
2. 基本原則
2.1 オリエンテーリングの定義
オリエンテーリングとは、競技者が地上に表示されたいくつかの地点(コントロール)を、地図とコンパスを使用して、可能な限り短時間で走破するスポーツである。
2.2 コース設定の狙い
コース設定の狙いは、競技者に要求される能力に合わせて、適切に設計されたコースを提供することである。競技成績は、競技者の技術的・体力的能力が反映されるようでなければならない。
2.3 コース設定の大原則
コース設定者は、以下の原則を念頭におかなければならない。
・走りながらナビゲーションするというオリエンテーリング独自の特性
・競技の公正さ
・競技者の楽しみ
・野生生物および環境の保護
・メディアと観客のニーズ
2.3.1 オリエンテーリング独自の特性
どのスポーツも独自の特性を持っている。オリエンテーリング独自の特性は、未知のテレインで時間と戦いながら最も適切なルートを発見し、それをたどることである。そのためには「正確な地図読み」 「ルート選択の判断」「コンパス・ワーク」「集中力」 「素早い判断」「自然の地形での走力」などの、オリエンテーリング技能が要求される。
2.3.2 公正さ
公正さは、競技スポーツの基本的な条件である。コース・プランニングおよびコース設定の各段階において最大限の注意をはらわなければ、オリエンテーリング競技が運に大きく左右されることになってしまう。競技が公正であり、コースのどの場面においてもすべての競技者が同条件であることを保証するために、コース設定者はすべての要因に配慮しなければならない。
2.3.3 競技者の楽しみ
参加したコースに競技者が満足しない限り、オリエンテーリングの人気を高めることができない。したがって、コース距離、技術的・体力的難易度、コントロールの位置など、コースが適切であることを保証するために、注意深いコース設定が必要である。この点で、それぞれのコースがそのコースに参加する競技者に適していることが特に重要である。
2.3.4 野生生物と環境
環境は繊細である。野生生物は悪影響を受け、地面や地表の植物は痛めつけられるかもしれない。環境には、地域の住民、柵、塀、耕作地、建物、およびその他の建造物も含まれる。
最も繊細な地域への影響を避ける方法を見つけることは可能である。繊細な地域においても適切な事前注意とよく練られたコースであれば、損害を与えることなしに大きな大会が開催できることを経験と調査が示している。特定の場所への立入りやテレイン内の繊細な地区をコース設定者が事前に確認していることが非常に重要である。
2.3.5 観客とメディア
オリエンテーリングというスポーツのより良い社会的なイメージを持たせるために、コース設定者は常に関心を払うべきである。コース設定者は、競技の公正さを損なわないようにしながら、観客とメディアが競技の進行状況をより詳しく知ることができるように努力すべきである。
3. オリエンテーリング・コース
3.1 テレイン
テレインは、すべての競技者が公正な競技ができるように選定されなければならない。オリエンテーリングの特性を維持するためには、テレインは走行可能で競技者の技能を競うのに適しているべきである。
3.2 オリエンテーリング・コースの定義
オリエンテーリング・コースは、スタート、コントロールおよびゴールにより規定される。これらの地点は、地図上に示した通り正確にテレインに設置される。これらの地点間をレッグといい、レッグをつないだものがコースである。
3.3 スタート
スタート地区は以下のようにすべきである。
・ウォーミングアップ・エリアが存在すること。
・スタートした競技者のルート選択が待機中の競技者に見えないこと。オリエンテーリング開始地点には、パンチ器具のないコントロール・フラッグを設置し・地図上に正三角形で示す。ここから実際のオリエンテーリングが始まる。
3.4 レッグ
3.4.1 よいレッグ
レッグは、オリエンテーリング・コースで最も重要な要素であり、コースの質の大部分はこれにより決められてしまう。よいレッグは競技者に面白い地図読みという課題を提供し、様々なルート選択へと導く。そのために以下の事項について考慮し在ければならない。
・一つのコース内に異なる種類のレッグを設定する。
(例)細かな地図読みを要求するレッグやより単純に走るルートを選択できるレッグを含む。
・競技者に様々なオリエンテーリング技能や走行スピードを要求するようなレッグの長さや難易度に変化をつける。
・競技者にたえず方向確認をさせるため、連続するレッグの方向に変化をつける。なお、均等でかつ質の低いレッグがたくさんあるコースより、むしろ質の高いレッグを短くつなぐ方が望ましい。
3.4.2 レッグの公正さ
どのレッグにも、競技中に地図から読み取れない有利・不利のあるルートがあってはならない。競技者を立入禁止や危険な地域に導くようなレッグも避けなければならない。
3.5 コントロール
3.5.1 コントロールの位置
コントロールは、地図上に表示されるテレイン内の特徴物(部)に置かれる。順番が指定されている場合には、ルート選択が異なっていても順番に回らなければならない。このために注意深いプランニングと公正さの確認が要求される。
特に重要なのは、地図上でコントロール周辺の地形が正確に、かつどのような方法でアタックしたとしても、方向と距離が正しく描写されていることである。地図上に助けとなる他の特徴物がなければ、近づかなければ見ることができない小さな特徴物に置いてはならない。異なる方向からアタックする競技者にとって、コントロール・フラッグの見えやすさの違いが、地図やコントロール位置説明から判断できない場所に置いてはならない。
3.5.2 コントロールの機能
コントロールの主な機能は、レッグの始めと終わりを示すことである。時として立入禁止や危険な地域を回避させるためなど、特別の目的に使用されることもある。また、コントロールは、給水やメディア・観客のためのものとしても利用できる。
3.5.3 コントロール・フラッグ
コントロール用の器具は、競技規則に準拠していなければならない。
コントロール・フラッグは可能な限り、コントロールの置かれた特徴物に近づいてはじめて見えるように置くべきである。公正さのためには、コントロール近くに競技者が居るか居ないかにかかわらず、コントロールの見つけやすさが同じになるようにすべきである。
コントロール・フラッグは隠すべきではない。コントロールの位置に到達した競技者がフラッグを探さなければならないような位置に設置すべきでない。
3.5.4 コントロール位置の公正さ
コントロールの設置位置には細心の注意を払い、パンチして出ていく競技者が、アタックしてくる競技者をコントロールに導くような出入りを避けるようにしなければならない。
3.5.5 コントロールの近接
異なるコースのコントロールが互いに近接しすぎると、コントロール位置に正確に近づいた競技者を惑わす可能性がある。コントロールは30m以内に近接して設置すべきでない。さらに特徴物が同じコントロールは、60m以内に近接すべきでない。
3.5.6 コントロール位置説明
地図に表示された特徴物とコントロールとの関係はコントロール位置説明によって明示される。現地での正確なコントロール特徴物と地図上に表示された地点は一致したものでなければならない。 「コントロールに関する規程」で定めるコントロール位置説明によって明瞭で容易に表示できない位置には、コントロールを設置すべきではない。
3.6 ゴール
ゴールラインヘのルートの少なくとも最後の部分は、マークトルートによって誘導すべきである。
3.7 地図読みの要素
良いオリエンテーリング・コースでは、競技者はたえずナビゲーションに集中することが要求される。
地図読みやナビゲーションヘの集中が要求されない区間は、特別なルート選択の場合でない限り避けるべきである。
3.8 ルート選択
ルートに複数の選択肢があると、競技者に、地図からの地形の判断や予測を要求することができる。それによって競技者個々に独自の考えを求め、それぞれのルートに分散させる。その結果、‘追従'の可能性が少なくなる。
3.9 難易度
どのようなテレインや地図であれ、コース設定者は様々な難易度のコースを設定することができる。レッグの難易度は、競技者が線状特徴物に沿ったルートを通る程度によって変えられる。競技者が、地図から得られる情報によってコントロール接近の難易度を判断し、適切な技術を選択できるようにすべきである。
競技者に要求される技能・経験・地図読み能力に注意を払うべきである。初心者や子どものコース設定には、難易度を適切にすることを特に留意すべきである。
3.10 競技の形態
コース設定では競技の形態によって特有の要求があり、これに配慮しなければならない。例えばショート・ディスタンス競技のコース設定では、細かい地図読みとレース全般にわたる高い集中力が要求される。リレー競技では、競技の経過を知りたいという観客の要求を配慮すべきである。
3.11 コース設定者が目標とすべきこと
3.11.1 テレインを知ること
コース設定者は、どのようなコントロールやレッグを使用するか決める前に、テレインを熟知すべきである。また、コース設定者は使用地図およびテレインの状態がコース設定時と大会当日とでは変わる可能性があることを意識すべきである。
3.11.2 難易度を適切にすること
初心者や子どものコースを難しく設定しがちである。コース設定者は、自分自身のオリエンテーリング技能や調査する時の歩行スピードに基づいて、難易度を評価しないように注意すべきである。
3.11.3 公正なコントロール位置を使用すること
可能な限りよいレッグを設定しようとするあまり、不適当なコントロール位置を使ってしまう場合がある。競技者はよいレッグとすばらしいレッグとの違いにほとんど気づかないが、コントロールが隠されていたり、曖昧であったり、誤解を招くような位置説明などのために予期せぬロスタイムをすると、その違いに敏感である。
3.11.4 コントロールを十分に離して置くこと
コントロールにはコントロール識別番号がついているが、正しく進行してきた競技者が誤って導かれるほど近接してコントロールを置くべきではない。
3.11.5 過度に複雑なルート選択を避けること
コース設定者は、誰も選ばないルート選択が見え、複雑な課題を設けるために時間を費やすかもしれないが、競技者は‘次善の'ルートを選択することによって、考える時間を節約するかもしれない。
3.11.6 身体的に厳しすぎないコースにすること
競技者の能力に合わせ、その能力の水準で大部分を走り切れるようなコースを設定すべきである。コースの登距離の合計は、想定される最短ルート距離の4%を越えないことが望ましい。テレインの制約などがあり、やむをえず逸脱する場合でも6%を越えないようにすべきである。
4. コース設定者
コース設定者は、経験を積むことによって良いコースの本質を理解し、提供できるような能力を身につけなくてはならない。また、コース設定の理論に精通し、クラスの違いや競技形態の違いによる特有の要求を正しく認設していなければならない。
コース設定者は、テレインの状態・地図の質・競技者や観客など競技に影響を与える可能性のある様々な要因を、現場で判断できなければならない。
コース設定者は、各コースおよびスタートからゴールまでの競技進行に責任を持つ。コース設定者の仕事は、大会コントローラーによって確認されなければならない。これは潜在するミスの可能性を排除するために必須である。
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