※注:高田新一というのはあくまでも物語の中での名前なので、そこのところはお許しください・・・。この物語はフィクションですのでお間違えの無いように。列車の時刻は2006年11月現在。
ある晴れた日の朝、僕―高田新一―は家に別れを告げ、家を出る。いつもの風景っぽく見えるが、実は違う。冬休みだし、福井・へサイクリングにでも行こうかと思っている。
スキーつっても、福井にレンタルスキーがあるから板・ストックなどは持っていく必要は無い。荷物になるから。
さて、まあ久しぶりの旅行である。しかも一人で。もう一人旅は・・・あ、2ヶ月前に駒ヶ根行ったな・・・






スノーライフin北陸






第1章:特急はくたか



まあいいや。とりあえずしなの1号に乗ろう。今回しなの号に乗るのはひとつ大きな意味がある。はくたか号の取材である。
鉄道ファンである以上、このことは普通っちゃ普通か。

長野には定刻どおり10:00に到着。文句なしの運転ダイヤである。滑らかに長野駅5番線に入ったのは見事だった。このせいで乗り換え案内が遅れたのがすこし気がかりだったのだが・・・
せっかくはくたか号に乗るわけだし、160q/hを体感したい。というわけで、欠け取りホームへ爆走する。10:02発の飯山線越後川口行きに乗るためだ。
僕が乗ると同時に発車メロディ――余韻の長いことで有名な(?)"スプリングボックス"――が流れ、すぐさま発車していった。車内はすいていた。まあまあ座席もよい。これならゆったりできそうだ。

長野を発車して2:51後の12:53に越後川口に到着。2分遅れであるが、問題は無いだろう。
・・・と思っていたその矢先・・・

「業務連絡。業務連絡。」

・・・おっ、業務連絡だ。ちょっと耳を傾けることにしましょうかね。

「1734M列車、小千谷駅で車両点検のため5分遅れで運転中」

だって。って、なにいー!?

1734M列車とは、越後川口発12:57で、越後湯沢着13:51の接続にはもってこいの列車である。ただ、駅員によるとほくほく線も遅れているとのことなので、まあ心配することは無かろう。
13:02。列車が来た。115系の上沼垂2次色である。上沼垂をほんとうはかみぬったりと読むのだが、以前までかみぬすまいとか、かみぬまだれと読んでいた。まあ僕も鉄道ファンとしてまだまだである。
13:53。越後湯沢駅に到着。まあ何がともあれ、着いてよかった。いよいよはくたか号であるが・・・なんと14:57発はくたか14号まではくたか号が無いのだ。まあ接続の問題であろう。ただ、越後湯沢駅は新幹線も来ているので、新幹線の写真なくしては流石に成り立たない。それになぜか疲れていた。
今回行くスキー場のことをあまりよく知らないので、プリントアウトしたコース図に目を落としていると、眠くなってきて、しまいにはねてしまった。14:07のことである。

14:30。はくたかの入線の音が僕をたたき起こした。

14:57。はくたか14号発車。やはり特急は速い。マスコン5は軽く入れてるだろう。
ほくほく線は基本的にトンネルだが、時々トンネルから出る。でもそんなのは一瞬だけだ。またトンネルはいって、出て、またはいって・・・
そうしているうちに速度を落としているような感じがした。ブレーキ4相当のブレーキを入れているだろう。ところが、80kmをパスしてどんどん減速・・・あらら??
と、不意に列車が揺れた。窓を見ると、そこには"犀潟"の文字があった。なんとなく納得。

直江津15:50着。定刻どおりである。
糸魚川16:15着。三十秒遅れだが、そこまで気にする必要は無かろう。大糸線のキハもちゃんといた。
親不知16:23頃通過。北陸道最大の難所を容赦なく飛ばす。まもなく入善である。
入善16:34着。ここは1時間前を走る485系上沼垂色の特急"北越6号"の通過駅だ。かわりに、"北越6号"は、"はくたか14号"の通過駅・黒部に停車する。
魚津16:46に停車の後、17:02富山到着。すでに金沢で乗り換え予定の683系の特急"サンダーバード44号"が入線していた。しかし、キハ80系の特急"ワイドビューひだ"がいないのがちと寂しかった。
金沢17:39着。特急"サンダーバード44号"に乗り換える。ちなみに、この列車は和倉温泉から来る付属編成3両と、富山から来る基本編成6両を連結するため、ここで7分停車する。まあここまで来ることは殆ど無いから、見るもの全てが新鮮だ。一つ残さずカメラに収めていく。

色々金沢駅を歩いていたわけだが、不可解なところがあった。一人の少女が僕に向かって笑顔を作っていた。僕は何なんだろう?と思ったがそんな事に気を取られている暇なんかあったもんじゃない。急ぎ足で、特急"サンダーバード"の1号車に入った。



第2章:雪の町・福井



18:44。福井に到着。ホテルにすぐさま駆け込み、キーをもらい、荷物を預け、さっさと飯食いに行こうとした。そのときだ。

「あれ?新一君じゃない?」

不意に声をかけられた。振り返ると、金沢駅で僕に笑顔を作っていた少女がいた。何かどっかで見た顔だなーとも思ったけど知っている人なのかわからなかった。
でもそれにしては不自然すぎる。何で僕の名前を知っているのだろう?

「あ、ども。こんにちは。」普通にあいさつをする。すると、

「あれー?私の事知らないのおー?」と彼女。

「いや・・・初対面でいきなりこれですか・・・というか、まじめにいうと、
I don't know you.
ってかんじですよ?」と僕。得意の受け流しである。

「えー?じゃあ自己紹介するね。わたしは、水沢香織だよ」とまあ、自己紹介を勝手に始めた・・・。というか、僕の腹がグーグー鳴ってしょうがない。さっさと飯を食いたいのに・・・

しかし、彼女の最後の言葉はどうしても気になった。こういったのである。

「私と新一君は、新一君が7年前に来たとき付き合ってたんだけど、来て1ヵ月後には「飛騨・信州方面に帰る」といったままでそれ以来会ってなかったのよ」

たしかに、あのあたりで加賀・小松へ行ってる。しかし、福井まで足を踏み入れたかどうかは覚えていない。
というかそもそも、初対面した車両は必ず写真に収めるのだが、419系通称"食パン電車"や、583系きたぐに号や、485系特急雷鳥号の写真が残っていない。
彼女と別れ、とりあえず、ロー○ンのパンを4個くらいパクついて寝ることにした。
翌朝、4:30起床(爆)。てきとーにパソコンを使い、再び仮眠。
気がついたら、6:48。朝食まであと12分。ちなみにこのホテルは1泊朝食つきである。
7:00になるまで待っていると、出入り口が非常に混雑して出入りが困難になる。食堂の場所は係員が教えてくれたから、心配はいらないのだが・・・。

それに、急がないとバスに乗り遅れる。福井駅東口を7:50に出る。ちなみに、スキー場着は9:00である。なかなかいいところにバスがあるのだ。ただ、レンタルスキーがあるため、すべるのは9:30からだと思っていいと思う。
あー、\5,500(1日券・食事券・500円券のセットの金額)の出費かぁ・・・痛いなぁ・・・ちょっと節約しよう・・・

そんなことを考えながら夢中になって朝食をとり続けた。

「時刻は7:20になりました。県内の天気をお伝えします」

部屋に戻った僕は、民放のテレビをつけて、天気予報を見ることにした。

「今日は、西高東低の冬型の気圧配置ですが、」

天気図を見る感じ、高気圧は佐世保周辺で1026hpa。低気圧は稚内付近で1008hpa。さほど風は強くは無いな。

「全県晴れでしょう。」

やっぱりな。

「○○スキー場の積雪量は300cmです。昨日で、60cm積もりました」

おおっ。ということはパウダースノーだな♪よっしゃ!(`∀´)b

さて、9:00。場所は変わってスキー場のゲレンデ前。レンタルスキーの手続きが意外と早く終わったので、9:15から滑れそうだ。
さ、始めるとするか!最初は20度くらいのやつで肩慣らし。楽勝♪
次にすべる所はリフトの中で適当に考える。こうしているうちに13:00になった。
食事券を持って食堂に行き、カレーライスを食う。このピリピリ感がなんともいえない・・・
って、ほんとに辛!み、み、水!
さて、支障なしにここまでやってこれたので、午後もこの調子でやりたいな。とにかく。
・・・・・・・・・と、そこへ。

「やあ、新一君」

・・・・・・・・・あの野郎。また来ちまったか。ほのぼのしたかったのに〜・・・・・・てか、食休み中だし。

「どうしたの?」

「いや、食休み中だ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

会話が続かない。まあそりゃそうだろうな。

「じゃ僕はもうゲレンデ逝っているから〜」

「あ、待ってよ新一君、可愛い女の子を置き去りにするなんて酷いよ極悪人だよ〜!」

一瞬気持ち悪くなった。こいつ結構ずうずうしいな。
その後は30度くらいの割と難しいやつに挑戦したりした。

そして、夜。ナイターが無いこのスキー場だが、施設はなかなかのものである。風呂なんか最高〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!♪♪♪♪♪♪♪
プールも最高〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!♪♪♪♪♪♪♪
ここのホテルは1日目に泊まったホテルと正反対で、一泊夕食つきである。
19:00。かなり早いがさっさと寝ることにしよう。おやすみ・・・・・・・・

「おーい、起きてよ新一く〜ん」・・・・・・・む、この声は。
「ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」←目覚まし時計・・・・・・・・・うるせえな、ちったあ静かにできんか!

「おい!まだ3:30じゃねえかよっ!!道理で外が暗いと思った!!」

「新一君、ご飯、食べにいこ?」

殺人的な笑顔を持つ水沢香織15歳。しっかし僕にゃあ通用するとでも思ったか!大外れだよ。大外れ。
だいいち、24時間営業の店しか開いてない時間だ。コンビニじゃあるまいし。食べるとしたら。
あ、でもバスから降りる15分前くらいに24時間営業の店があったな。しかし、遠すぎるだろ。バスは大体30q/hで走っていたから、単純計算で7.5q。。。遠い・・・

「みんな待っているから、早くいこ!」・・・・・・いや、いこといわれても・・・眠いし、遠いし。てか、みんなって誰?
腹がへっているのは認めるが・・・
3:52。香織に手を引っ張られて食堂へ。そこには・・・

ホワイトボードにでっかく"ようこそ福井へ!"の文字!

そして、なんとなく見覚えがある僕と同年代の人たち!


なにげなくライトもちゃんとついていた。まぶしー・・・・
というか、ここに呼び出して、何か企んだりしてないだろうな?いや、絶対何か企てている。
疑惑は、確信に変わった。
4:00。飲食開始。飲み食いしていることに気を取られていて、周囲の事なんかちっとも僕は気にしていない。
しかし、香織を含むほかの人たちの目線は、優しかった。
ただ、うかうかしてはいられない。気がついたら6:00。

「じゃあちょっと食休みしてくる」と口実をつけ、部屋に戻った僕は、スキーウエア(持参品)と板を用意した。ワックスは昨日塗ったからもういい。
8:11。一番乗りにスキー場へ。揺れるリフトの中で、僕は考えていた。

・・・・・・・しかしあんな広いところを借り切っていいんかいな。でもなぜ、僕が福井行くことが知られているのだろう?別に誰にも言っていないのに・・・あ・ホテルから漏れたのかな?かもしれへんな。そういえばどこかここ、見覚えがあると思えば、越前花堂に住んでいたな・・・7年前に。そっか・・・だから歓迎会をやろうとしたのだな・・・。ありがとう・・・。
複雑な気持ちで終わった福井のスキー場の午前の滑走。
12:46。レストランを出て、午後の滑走へ。20度くらいの斜面を60q/hで吹っ飛ばしていた。そのときだ。

「「「「新一く〜ん」」」」

ドップラー効果で若干聞き取りづらかったが、僕の名前を複数人で呼ぶ集団がいる。見る感じ、香織は入っていない。
でもたしか、歓迎会にいた人たちだ。
まあそれでスキーを帰して急行きたぐにで米原を経由して帰る・・・はずだった。ところが事態は予想外の展開へ。
ある女子から

「今回せっかく福井まで来たんだからゆっくりしていきなさいよ♪どうせだったら香織の家に泊まったら?」

ま、まあ・・確かに宿題は全部終わっているが・・・・泊まる場所はホテルにしとくようにした。
ところが、やはり帰省ラッシュだからホテルが殆どやっていない・・・。しゃあない。いさぎよく香織の家行くか!



第3章:香織の家&大雪



香織の家は、福井の中心街にあるらしい。ただ、中心街の外れにある繁華街の外れにある一軒家・・・って処らしい。
ただ、駅から遠いとのこと。福井の町は広いから。スーパーは歩いて200秒かからないところにあるとのこと。
17:05。とりあえず、食糧を買うことにした。雪を蹴散らすEH500・E751系・789系・キハ261のごとく、地吹雪を上げながら走って買い物に行った。80秒しかかからなかった。
18:28。寂しく飲食開始。香織やその家族はなにかやっているらしい。まあ気にすんな。
20:26。一回香織の家を出て、寝台特急日本海・寝台特急北陸・急行きたぐに・急行能登・特急雷鳥・食パン電車(419系)の写真を撮るためだ。
23:39。帰宅。きたぐには流石に遅すぎたが、沢山撮ってきた。金沢にも繰り出した。敦賀にも行った。
23:59。就寝・・・しかけた。
翌日0:23。ほんとに寝た。
2:33。2:10という浅い眠りから目覚めた。
窓の外を見ると・・・おお!雪が積もってる!しかも1階が半分埋まっている!こりゃー除雪車フル稼働だな・・・
って、ええっ!?目の前に線路がある!
かんかん・・・列車来るぞ。カメラを構えて。
お、きた。のはいいのだが・・・

え"ーっ!?これJRの線路だったのー?!来た列車が583系の急行きたぐにだし!

そのまま30分貨物の写真を撮っていた。と、突然。

ぶはっ!

雪をかけられた。みると、除雪車・通称"特雪"がいた。しかし、雪捨て口があっち側を向いている。これ、ひょっとすると・・・香織の仕業?
いたずら好きだな。あいつも・・・

タンタカタンタカタンタラララタンタカタンタカタララララ(携帯の着メロ:kanon)

お、電話だ。出てみよう・・・

「あ、新一君。香織よ〜」

あんた携帯持ってたのか・・・まあいいや。何か用?

「今福井駅にいるけど、ちょっと来て」

何でだべさ?

「運休の情報が出ているから〜」

何か嫌な予感・・・。

「とにかく来て〜」

がちゃり。
まずいな・・・今日帰ろうとしたのにな・・・。
3:11。福井駅へ。しかし、香織の姿は無い。電光掲示板は・・・

きたぐに号を持って本日の運行終了だとお!?

横にあったホワイトボードには、

今日と明日北陸本線・越美北線終日運休!?

僕は即座に、なぜ明日の運休が内定しているのか駅員さんに聞いてみた。駅員さん曰く

「除雪車の除雪範囲では到底追いつけないところまで積もってしまったので、小浜〜敦賀〜福井〜金沢〜富山〜親不知の区間の雪を高さ100cmぐらいまで取り除けたら除雪車を入れて運転再開する」とのこと。納得。

6:40。家に戻り、NEWSを見る。ニュースキャスター曰く

「○○スキー場は昨日からの猛吹雪でリフトが埋まったためリフト稼動中止を決定しています。JRは小浜・永原・九頭竜湖〜親不知・猪谷で今日と明日の運休を決定しています」

とのこと。
う〜む、こりゃ帰れないな・・・バスも駄目だろうし・・・
しばらく香織のところでお世話になるか・・・。無理がある。何しろ学校始まっちゃうし。ということで学校に電話をかけ、福井に旅行をしに行っていたが大雪の為学校を休むと言うことを伝えた。学校側からの返答は、「分かりました。帰ってきたら旅行のことを話してください」と、やけにあっさりと承諾した。

「新一君。雪かき手伝って〜」

おー。やろうじゃないの?得意だぞ?雪かきは。むかし飯山にいたこともあって10日も足止め食らったこともあるし。今住んでいる木曽(作者は木曽在住かどうかは皆様のご判断にお任せします)では結構雪降るし。そんなことを考えていながらスキーウェアに着替えていた今日この頃だった。


第4章:雪かき


ザックザックザック・・・・・・掘っても掘っても見えるの雪ばかり。
時計を見ると・・・12:29。昼飯食いてぇ・・・。

「コツン」

ん?石にでも当たったか?
って、ぎえぇぇぇーーーー!!!!踏切警報機だあーーっ!!ということは、線路があるのだな。折り返そう。今のところ、200cmを幅3mを50m掘った。まだまだ。これから後20分の17を掘る。(幅5mの道路を200m除雪する)
24:00。半分終了。香織は別のところをやっているが、こちらはまだ3分の1。とりあえず夜通しやる。香織のほうは、普通につづけるらしい。負けてはいられない。何か妙に対抗心が燃えるのだが・・・。それにしても寒い。寒いったら寒い。ホッカイロなんかは8時間しか持たないから、もうそろそろ3個目に変えようかな・・・と思っているほどである。香織によると、今の気温は−10.2℃。長野県の平均気温から20℃も低い。ぶっちゃけ言うと、
I want a rest.
という感じである。

明朝・6:52。10分の7まで終了。越美北線にしろ、北陸本線にしろ、高山本線にしろ、小浜線にしろ、湖西線にしろ、福井県内は全滅。唯一動いている交通機関は、スキー場のリフトだけである。
10:25。雪かきを終えた。が、香織はまだ10分の7に達したってところだ。手伝ってやるとするか。
13:48。全部終了。しかし、雪はまだ降っている。明日になったらまたリトライだな・・・。いつまでたっても帰れんぞ・・・?参ったなあ。
19:00。再びテレビをつけて運行情報を確認。そして、北陸線・越美北線・北陸自動車道・白鳥行きバスが運休しているのを確認して、ご〜ろごろ。

明朝3:39。普通におきて、雪かき再開。60cmの降雪があった。JRは親不知と魚津の間で運転再開したが、福井県内は寝台特急も特別急行も集約臨も各駅停車も全滅。
商店街の中は急傾斜の屋根のついたアーケードがあるので、通常通りの営業をしている。香織によれば、除雪商品が馬鹿売れしているらしい。ただ、機械は寒すぎて動かないため、店には置いていないとのこと。つまりスコップが売れているのだ。あと、ホッカイロなんか、品切れ寸前だということだ。僕も欲しいがそこは我慢我慢。もう限界だが。ちなみに現在気温-9.7度。寒すぎるったらありゃしない。しかし、得意の雪かきをやっていくと、体が自然に温かくなる。手を止めないほうが温かいのだが、できれば手を止めて、ご飯にありつきたい・・。ただそうすると、だんだん雪かきするのが嫌になってくる。そういうぎりぎりの選択を迫られている。それも、1秒たりとも、その悩みから開放できないところがかなりつらいのだが・・・。
もう1月12日。学校は10日から始まっている。やっべー。どうしよう・・・。
と、そのとき。

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ・・・・・・・・・・・・

この音は除雪車ではないか。もうすぐ運転再開なのかなあ・・・?

翌日。午前4:30.テレビをつけると、交通情報が出ていた。それによると、

・高山本線⇒全線復旧。
・越美北線⇒越前花堂―越中美山間運転再開。但しバス運行はしていない。
・小浜線⇒全線復旧。
・湖西線⇒全線復旧。
・北陸本線⇒長浜―敦賀間・高岡―魚津間運転再開。但し高岡・和倉温泉―敦賀間引き続き運休。
・北陸道⇒敦賀―高岡間で引き続き通行止め。
・白鳥方面バス⇒引き続き運休。

以上のとおり。
予想大外れ・・・。
なんでも、七尾線と北陸本線の分岐のところにあるポイントが故障したらしい。福井駅構内も酷いことになっていたらしい。ポイントが凍ったり・・・。それで、越美北線が越前花堂止まりだったのだ。ちなみに、除雪は鯖江―加賀温泉間が終わった。白鳥方面はまったく持って駄目。路面がえらいことになっていたというらしい。相変わらず寝台特急日本海・急行きたぐに・寝台特急北陸・急行能登・特急はくたか・特急北越は高岡で折り返している。本来ならば特急サンダーバードにかかわる車両をはくたかに転用しているらしい。683系や681系の列車が大半だが、485系雷鳥や、なんと583系東北夏祭り号も使っているらしい。ただこれは、485-3000や、北越急行683系の検査入場に伴う代走だ。まあそりゃそうだろうな。419系なども北越急行1000系に代わって代走をしている。この大雪で列車の使用線区が大幅に乱れた。

10:17。鯖江―敦賀間運転再開。北陸道も同区間通行止め解除。
12:59。高岡―津幡―和倉温泉―穴水間運転再開。北陸自動車道は高岡―金沢間通行止め解除
16:21。氷見―城端間運転再開。
19:09。越美北線バス運転再開。

どれをとっても、福井から抜ける道をふさがれている。ちなみに、いまだに白鳥行きバスは走っていない。

21:30。津幡―金沢間運転再開。同時に松本行きバス運転再開。

このバス運転再開は大きいが、金沢に抜けられない。これは相当痛い。もちろん大阪―金沢・福井間のバスはそのまんま。

こうした運転再開の嵐で終わった今日だった。


第5章:抜けられないこの地


翌日。昨日とは一転、全く運転再開の情報が来ない。いったいどうしたものだろうか。

ホームページを見ても、全く動きが無い。あるとすれば、山陰本線で遅れているくらいだ。まあいいとするか。気晴らしに福井駅をちょっくらのぞいてみよう。って・・・・な、何じゃこりゃ!?
見ると、線路が無い。砂利がむき出しだ。線路でも取り替えるのかな・・・?ポイントごっそり換えるとか・・・
さて、15:34。越美北線・白鳥行きバス運転再開・・・なのはいいのだが、長良川鉄道が運転見合わせをしているらしい。
あーあ。これじゃ帰れないよ。香織の家に来てからまもなく1週間。マジで家が恋しくなる。木曽にある、木造2階建て3LDKのマイハウス。
22:47。福井駅へ。まだ線路は敷いていない。がっくり肩を落として帰った。
23:40。急行能登運転休止。スリップの為である。同時に魚津―富山間運転見合せ。
5:59。寝台特急北陸運転休止。魚津から代行バス運行。

夜の間にも色々あった。保線の音なんかよく通る。香織が寝ぼけて本来僕が寝るはずだった布団に入って眠った。

翌朝・7:25。天気予報によると、また雪が降るらしい。それも、70cmも。
その日の夜。香織が言った。

「あなた、親がいなくて寂しい?」・・・こりゃまた痛いところを。

たしかにその気持ちはあるなーとだけいっておいた。ほんとは、いろんな感情が頭の中をさまよっていた。
12:39。カップめんをほおばって、再びパソコンへ。

最新情報は・・・と。あったあった。ん、大聖寺―金沢間運転再開。代わりに、鯖江ー敦賀間再度運転見合せ。
北陸線―大糸線―中央線と繋ぐほかあるまい。北陸線―東海道線―中央線のルートはもろくも散ったかのように思えた。

16:58。朗報が入った。鯖江―福井間運転再開。列車は越中美山発鯖江行き・鯖江発越中美山行きが殆ど。
21:48。雪崩のため、黒部―糸魚川間運転見合わせ。と同時に、大聖寺―福井間運転再開。やっとルートが開いた。北陸線―高山本線―太多線―中央線とつなぐ。福井に来てから8日目であるが、すでに終電も出発。帰るのは明日にしよう。


プロローグ:木曽へ



新一は知らなかったのだが、このことは全校中の話題になっていた。あっちで雪かき無理やりやらされてんじゃなかったの?とか色々質問されていた新一であった。香織とは3月に木曽で会った。今度は香織が台風に遭って10日も足止めを食らった。

8月。福井にて。突然香織が歩調を止めて言った。

「私は、新一君のことが好きです。8ヶ月前にきたときも、7年半前にここにいたときも・・・・・・」

急に頬が赤くなった。そりゃまあそうだろうな。

「俺もなんとなく、そう思ってた」

「なんとなくって・・・ひどいよ新一君」

抱きついてきた。仕方ないだろう。実際片思いが成就したわけだし。香織との付き合いは今後とも続くだろう。
あとがき

ども。E2あさまです。かなり鉄っぽくなってしまいましたw
今回の舞台は福井にしたつもりです。

話の内容は新一君から見た風景そのまんまです。
用語解説
特急しなの
(383)
長野〜名古屋間を走る特急。6両中心。
停車駅(最速達):中津川・木曽福島・塩尻・松本・篠ノ井
特急はくたか
(683・485-3000等)
越後湯沢〜金沢間を走る特急。9両が殆ど。
停車駅(最速達):直江津・富山・高岡
特急サンダーバード
(683・681)
大阪〜魚津・富山・和倉温泉を走る特急。金沢で3両を切り離す。
停車駅(最速達):新大阪・京都・福井・金沢・高岡。
特急雷鳥
(485)
大阪〜金沢を走る特急。主に9両。
停車駅:サンダーバードの停車駅と堅田・敦賀・鯖江・芦原温泉・加賀温泉・小松。
115系上沼垂色
(信越線ほか)
主に新潟支社管内で運転。
寝台特急日本海
(EF81)
大阪〜青森を走る夜行列車。12両で運転。
福井到着は2026(日本海1号)
寝台特急北陸
(EF81)
金沢〜上野を走る夜行列車。8両で運転。
金沢発は2218
急行きたぐに
(583)
大阪〜新潟を走る夜行列車。10両で運転。
福井発は下り215・上り406
急行能登
(489)
金沢〜上野を走る夜行列車。9両で運転。北陸の補佐役。北陸より停車駅が多い。
金沢発は2215
越美北線
(419)
九頭竜湖〜福井を結ぶ路線。"食パン電車"が走る路線として有名。
北陸本線
(681/683etc)
色々な列車が走るバラエティ豊かな路線。場合によっては、急行あおもり号が走ることも。
高山本線
(キハ80)
一部区間が不通となっている。現在富山まで(ワイドビュー)ひだが乗り入れることは無い。
七尾線
(683)
和倉温泉〜津幡を結ぶ路線